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第25話

「やめっ、中はやめろ……ッ、中は、それはだ……アッ、ああっ」  航の制止を聞き流した穂高は、穿った自身を一層膨らませる。少しでも油断すれば爆ぜそうなモノを、扉を開いて待つ直腸の奥へと捩じ込んだ。  ぐ、と航の息が聞こえたが、そんなことはもう関係ない。このまま実を結べばそれでいいし、たとえ結ばなくとも、それはそれで構わない。  ただ、航だけが知っていてくれればいい。 「航……俺は、航が好きだよ、ずっと。ずっとずっと、航だけが」  器用には守れないし、純粋にも愛せない。航のようにキラキラと綺麗に輝く心の持ち主に、なれるものならなりたい。でも、なれない。  だからせめて知っていてほしかった。  こうして本能に負けて身体を手に入れたけれど、そこにはきちんと心が寄り添っていることを。嘘ばかりの自分の中で、航を思う気持ちだけは本物だということを。  そしていつか、真実に気づいて。 「あー……出る。これ、ッ……やばい、もうイキそ……はぁ、航……航も一緒に、な?」  吐精間近の先端を奥に埋めた穂高は、航のものに手を伸ばし優しく扱いた。ぐずぐずに濡れたそれは、穂高の手の中でぴくりと震える。  穂高と同じように、航の絶頂も近かったのだ。 「い、アァッ……前触ったらも、出ちゃ……ッ、出る、もうイクッ、イッちゃ……」  前と後ろを同時に責められ、航の身体は逃げ場をなくした。どちらに意識を向けても、どちらも航を限界まで高めようとするのだ。  震える手を航は背後に回す。必死に穂高を求め、痛む肩など気にもせず。航に触れるのとは反対の手でその指を掴んだ穂高は、絡めとった航のそれを甘く食んだ。  ほだか、と呼ぶ航の声はか細い。 「ほだか、ほだかぁ……あッ、ほだッ……イク、ぅ……穂高ァ」 「うん……俺、も。だからね、一緒に……ン、このまま、一緒に」 「穂高、もう無理、イッ──いっ、アッ、いあああッ……」  痺れを伴って駆け巡る大きな絶頂に、航は穂高の指すら強く締め付ける。内からも外からも航を感じた穂高は、熱い飛沫を最奥へと迸らせた。今までで一番の悦楽に、穂高の頭が白く弾ける。  一方の航は、自分の中に広がる熱に異変を感じていた。こうして激しく抱かれれば収まると思っていたのに、一向に身体が鎮まらない。それどころか、航の身体は味を占めたかのように次の準備を始めていた。  まだ穂高が足りないと、身体が叫んでいた。 「穂高……どうしよ、俺っ、俺……イッたのに。もう何回もイッてる、のに……っ」  涙を零し恥辱に震える航に、穂高は苦く笑った。どこまで堕ちても航は航で、決して汚れることはない。  いつもどんな時も、何があっても航は穂高の中で一番に輝く。 「うん……俺も、同じ。だからもっと、航を抱かせて」  航の中に入れたままのものを揺すって、穂高は囁く。吐き出して尚、大きいそれに航の喉が鳴る。それが再びの合図となって、今度は向き合うようにして二人は身体を重ねた。  明るい陽射しの中で、誰にも秘密の行為。  隠し事だらけの二人はお互いの熱に溺れ、何度も何度も情を交わした。  そして──。

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