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第2話 弟
一度目の前が真っ暗になって、気がついたらベッドに寝ていた。あれは夢だったのか、現実だったのか不思議な感覚で目が覚めた。時間は朝6時で、日付も次の日である土曜日になっている。意味不明な夢の内容に疑問を持ちながら、貴重な休日を堪能するためにもう一度寝た。
もう一度起きたら、昼の13時だった。リビングに向かうと昼飯が置いてあって、『温めて食べて、帰宅は17時』というメモが置いてあった。俺は料理ができないので、母さんか弟が作る飯を食べている。今日は弟だった。美味しい生姜焼きを食べて、リビングで映画をみた。
「兄貴!起きろ!」
いつの間にか弟の帰宅時間まで寝落ちていたようで、起きたらクズを見るような目線をした弟が目の前にいた。
「皿ぐらい洗えって・・・今日は水にもつけてくれてねーし・・・」
「え?あー、ごめん・・・美味しかったよ?」
一応機嫌取りのために感想を言うものの無視されて、皿を片付けにいってしまった。弟が大学生になってバイトを始めるまでは嬉しそうに身の回りのことをしてくれてたのだが、流石に疲れ切っての兄の世話は迷惑なんだろう。最近の冷たい態度に申し訳無さを感じつつ、部屋にこもろうと立ち上がる。
「晩御飯、牛丼でいい?すぐできるけど」
「ありがとう、じゃぁ待っとこうかな、手伝えることは」
「ない」
「あ・・・・すみません」
またソファに座って、テレビを見ながら時間を潰した。ピコンッと携帯がなったので見ると、両親ともに婆ちゃんのとこに泊まるという連絡が来た。ということは、2人分の飯の用意でいいわけで
「悠介ー、母さんたち帰ってこないって」
「え!?まじかよ・・・作りすぎたし、明日の昼これ食べといてくれる?」
「りょーかい」
「もうできるし、ご飯よそって」
黙々とご飯を食べて、今度は皿を水に浸して、部屋に篭った。部屋に戻ったもののやることはなく、ただただネットサーフィンをした。だらだらとしていたら22時になっていて、エロ動画でも見て寝るかと、次はエロ関係を漁った。サンプル画像を見ながらピンッとくるシチュエーション、顔、体型などを見ながら探していると、どんどんその気になってくる。もうこれでいいやと動画に飛び、ヘッドホンをつけて、机の下でモノを出して扱き始める。
「・・・っ」
画面の中の性行為を自分がしているかのような感覚になり、没頭していた。だから、気づかなかった。
「兄貴」
真後ろで声をかけられて、驚きでノートパソコンの蓋を勢いよく閉じて、もう手遅れなのにさもバレてないかのように、振る舞う。
「いや、これは、その、健全な男子だからさぁ〜あはは・・・」
下半身の露出はまだ机の下にあるものの、気まずすぎて目を合わせられない。
「甘い匂いがする」
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