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第2話 出会い
生徒用の玄関前でクラスを確認してから教室に行き、黒板の座席表を見て席に着く。
すぐに斜め前から「あっ」と言う声が聞こえ、顔を向けると、先程僕の事を見ていた彼がいた。
「お、同じクラスだったんだ……。俺、蓮本 大輝(はすもとだいき)って言うんだ。大輝って呼んで。よろしくな!」と、人懐こい笑顔で話しかけて来た。
人との関わりを避けて来た僕は、久しぶりの他人からの好意的な態度に、少し戸惑う。
「僕は成瀬 燈(なるせあかり)。よろしく…」
にこりと微笑んで挨拶を返したけど、上手く笑えただろうか。
彼は、顔を赤くしながら頷き、こちらに身を乗り出した。
「さっきも思ったけど、燈って綺麗な顔をしてるよな。モテるだろ?」
ーーモテる?何を言ってるのだろう。皆、僕を気味悪がって近付いて来ないのに。
「僕はモテないよ。大輝の方こそモテそうだけど?」
「いや、う〜ん、どうだろ?」
そう言って、眉を上げたり下げたりしている。
彼の表情はコロコロとよく変わる。彼を見ているのは暇潰しにいいかもしれない、と少しだけ思った。
入学式の後のHRが終わり、蒼一朗に『終わった』とメールを入れる。
朝に「車での送り迎えはいらない」と言ったけど、蒼一朗は絶対に譲らなかった。僕は何とか説得して今日だけ帰りも迎えに来てもらい、明日からは朝だけ送ってもらう事になった。
「燈、これから昼飯食いに行かない?」
「今日は駄目なんだ。ごめんね」
ぼんやりとスマホを見ていた僕に、大輝が声をかけてくる。僕は、少し申し訳なさそうに断ると、鞄を肩にかけて教室を後にした。
後ろで、「蓮本!お前あいつによく話しかけれるよなー、なんかこわくね?」という声が聞こえてくる。「え、何が?」と、とぼけた大輝の声を聞きながら廊下を進む。
ーー本当にそう思うよ。大輝は天然なのか鈍感なのか。
彼の百面相を思い出して、僕はクスリと笑いを漏らした。
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