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第4話 愛念

気がつくと、真っ暗闇の中にいた。 どこを見ても黒くて、まるで宙に浮いてるみたいだ。 またいつもの夢だ。この後、どうなるのかも分かっているんだ。何度も見ている夢だけど、背中が粟立ち心臓がドクン!と跳ねる。 僕の名前を呼ぶ声が微かに聞こえる。 声のする方へ顔を向けて目を凝らすと、ぼんやりと人影が見えた。人影が誰かも分かってる…。 そのぼんやりと光っている影へ近付いて行くと、父さんと母さんが笑って手を振っていた。 父さん…母さん…。 駄目だと頭の中で警鐘が鳴る。だけど見えない力に引っ張られて二人の元へと近寄る。 二人へと手を伸ばし、後少しで触れようとした瞬間、二人の身体から血が噴き出した。 黒から一転、世界が真っ赤な色に染まって行く……。 僕は急に息が出来なくなって、両手で首元を押さえてうずくまり、固く目を瞑った。

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