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第9話 監視する者

制服が半袖に変わり、ジリジリと強い陽射しが照りつける。僕の苦手な季節が近づく。 ゴールデンウィークの最終日、大輝と僕のマンションの最寄り駅で待ち合わせ、5駅行った所にあるブックカフェに連れて行ってくれた。とてもセンスのいいお店で、かなりの数の本が揃っていた。 あの家に置いてきた本を見つけて、何だか懐かしくて1冊丸々読み終わるまで、そのカフェにいた。 大輝も本を手に取って最初は読んでいたようだけど、途中から僕の方ばかり見ていたような気がする。 大輝の家にも遊びに来るか聞かれたけど、家の人が居るようだから断った。そうしたら、秋に両親が旅行に行くからその時に来て、とまた約束をした。 こんなにも普通の高校生のように、穏やかに過ごしていたから忘れてしまってたんだ。僕は決して自由になれていた訳ではなかった事を…。 僕は暑さに弱く、夏の時期は長い時間外にいるのが苦手だ。 その日の体育は、グランドで4チームに分かれてサッカーの対戦をするというものだった。 他のチームの対戦を見学して15分ぐらい過ぎた所で、頭痛と吐き気がしてその場にうずくまる。 すぐに周りがザワザワし出して先生が傍に来た。 「保健委員は誰だ?成瀬を…」 「俺が連れて行く!」 先生の声に被せて、試合中の大輝が叫びながら駆け寄って来る。 「お、そうか?じゃあ頼むな。ほらっ、試合再開だ!」 先生は、そう言うと戻って行った。 大輝に肩を支えられて保健室へと向かう。途中、ふらついて倒れそうになるのを大輝に抱き留めてもらい、何とか保健室の前に着いた。 ノックをして中に入ると、眼鏡をかけた冷たい雰囲気の、白衣を着た男がいた。

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