16 / 89

第16話 狂愛 ※

車の中でも、マンションのエレベーターでも、蒼一朗は無言だった。 僕を抱きかかえたまま、ズボンのポケットからカードキーを出して玄関のドアにかざし、鍵を開ける。 中に入って靴を脱いで上がると、鞄を下ろしてそのまま洗面所へ向かう。洗面所の床に僕をそっと降ろし、服を全部脱がせた。 蒼一朗も服を脱ぎ、脱いだ服をまとめて洗濯機に放り込む。そして、僕の背中を押して風呂場へ入った。 蒼一朗はシャワーのコックをひねってお湯を出すと、僕に目を向け、僕の目にかかる前髪を長い指で横に流してじっと見つめてくる。 「あ…っ」 その怒りを含んだ目に、まだ熱が収まりきっていない身体の奥がびくんと震えた。 蒼一朗が僕の後頭部に手を回して顔を引き寄せ、唇にかぶりつく。何度も食まれて、息苦しくなって口を開けるとぬるりと舌が潜り込んできた。 「ふっ…んぅ…」 舌を絡めて吸われぞくぞくと身体が痺れる。腰にも手を回され、二人の身体が隙間なくくっついた。蒼一朗の隆々と立ち上がった性器が僕の腹にあたる。 舌を引き出されきつく吸われる。何度も角度を変え激しく口内を犯された。 ようやく唇が離れると、僕の震える身体に軽くシャワーをかけた。シャワーからの刺激にも、身体がピクリと震える。 「燈…壁に手を突いて尻を出して」 言われた通りに壁に手を突いて蒼一朗へ尻を向ける。蒼一朗が液体ソープを手に掬い、僕の尻のはざまに手を滑らせてくる。ぬるりとした指が孔を撫で、つぷんと入ってきた。 蒼一朗の長い指が、僕の中に残っている先生のものを掻き出す。 「ん…っ、あ…あ…っん…」 大きくて長い蒼一朗の指の動きに、僕は甘い声を上げて足を震わせた。 蒼一朗が指を引き抜き、僕の身体を支えながら丁寧に洗ってゆく。俯く僕の目に、血管が浮き出て反り返る蒼一朗の性器がうつった。 僕は顔を上げて、潤んだ瞳で蒼一朗を見上げる。蒼一朗の首に腕を絡め、背伸びをして口付けた。 「そう……」 僕は甘い声で名前を呼ぶ。 蒼一朗は、まだ怒りを含んでいる眼差しで僕を見ると、僕の身体の泡を洗い流し、素早く自分の身体にシャワーをかけて風呂場を出た。

ともだちにシェアしよう!