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第16話 狂愛 ※
車の中でも、マンションのエレベーターでも、蒼一朗は無言だった。
僕を抱きかかえたまま、ズボンのポケットからカードキーを出して玄関のドアにかざし、鍵を開ける。
中に入って靴を脱いで上がると、鞄を下ろしてそのまま洗面所へ向かう。洗面所の床に僕をそっと降ろし、服を全部脱がせた。
蒼一朗も服を脱ぎ、脱いだ服をまとめて洗濯機に放り込む。そして、僕の背中を押して風呂場へ入った。
蒼一朗はシャワーのコックをひねってお湯を出すと、僕に目を向け、僕の目にかかる前髪を長い指で横に流してじっと見つめてくる。
「あ…っ」
その怒りを含んだ目に、まだ熱が収まりきっていない身体の奥がびくんと震えた。
蒼一朗が僕の後頭部に手を回して顔を引き寄せ、唇にかぶりつく。何度も食まれて、息苦しくなって口を開けるとぬるりと舌が潜り込んできた。
「ふっ…んぅ…」
舌を絡めて吸われぞくぞくと身体が痺れる。腰にも手を回され、二人の身体が隙間なくくっついた。蒼一朗の隆々と立ち上がった性器が僕の腹にあたる。
舌を引き出されきつく吸われる。何度も角度を変え激しく口内を犯された。
ようやく唇が離れると、僕の震える身体に軽くシャワーをかけた。シャワーからの刺激にも、身体がピクリと震える。
「燈…壁に手を突いて尻を出して」
言われた通りに壁に手を突いて蒼一朗へ尻を向ける。蒼一朗が液体ソープを手に掬い、僕の尻のはざまに手を滑らせてくる。ぬるりとした指が孔を撫で、つぷんと入ってきた。
蒼一朗の長い指が、僕の中に残っている先生のものを掻き出す。
「ん…っ、あ…あ…っん…」
大きくて長い蒼一朗の指の動きに、僕は甘い声を上げて足を震わせた。
蒼一朗が指を引き抜き、僕の身体を支えながら丁寧に洗ってゆく。俯く僕の目に、血管が浮き出て反り返る蒼一朗の性器がうつった。
僕は顔を上げて、潤んだ瞳で蒼一朗を見上げる。蒼一朗の首に腕を絡め、背伸びをして口付けた。
「そう……」
僕は甘い声で名前を呼ぶ。
蒼一朗は、まだ怒りを含んでいる眼差しで僕を見ると、僕の身体の泡を洗い流し、素早く自分の身体にシャワーをかけて風呂場を出た。
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