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第46話 幸せの消失

相変わらず和室でぼんやりと座っていた僕は、部屋の隅に置かれている荷物に気がついた。僕のランドセルと学校で使う様々な道具類。そしてその横に小さなアルバムが置いてある。 僕は這って荷物の所まで行き、アルバムを手に取ってゆっくりと開く。中には小さい頃の僕と………。 父さん…母さん…。 僕の心臓がドクンと跳ねる。 そうだ。父さん母さんはどうなったんだろう…。二人に会いたい……。 僕は、二人の事を思い出したら急に胸が苦しくなって、アルバムを抱えたまま、下を向いて強く目を瞑った。 その時縁側に面した障子が開いて、彼が入って来た。彼は僕の隣に座って髪を撫で、優しい目をして僕の顔を覗き込んだ。 「燈、どうした?」 「…父さんと母さんは……?」 僕は彼を見上げて尋ねた。 僕が初めて口を聞いたから、とても驚いた後に少しだけ寂しそうに笑って話し出した。 「うん…。燈、俺の名前は巽蒼一朗って言うんだ。蒼一朗って呼んでいい。呼びにくかったら蒼でもいいぞ。」 そう言って僕の背中に手を回して、アルバムを抱えたままの僕を抱きしめた。 「燈…いいか。落ち着いて聞くんだ。おまえの父親と母親はもういない。あの日に死んだんだ。会長が手配してもう全部終わったよ。もう…父親と母親には会えないんだ…」 それを聞いた僕の目から、初めて涙が零れた。 「もう…会えないの…?一緒に出掛ける約束してたんだよ?どうして二人は死んじゃったの?僕だけ置いて……。僕も…僕も一緒がよかった…っ」 涙がポロポロと溢れて、彼の…蒼一朗のシャツを濡らしていった。 静かに涙を流し続ける僕の背中をトントンと叩いて、蒼一朗が僕の耳の傍で囁く。 「燈…おまえの父親と母親はいなくなったけど、代わりに俺がおまえの傍にいる。何かあったら俺を頼れ。俺に甘えろ。おまえは一人じゃないんだ。わかるか?」 蒼一朗の優しく力強い声に、僕は小さく頷いた。

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