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第52話 暗雲 ※

僕がいくら押しても彼はびくともしない。それに、どんどん身体が熱くなっておかしくなってくる。 「そろそろ効いてきたかな?ちょっとだけ、ケーキと紅茶に薬を入れておいたんだよ。リラックス出来るようにね…。さあ一緒に気持ちよくなろうか」 彼は、僕を身体から離して、僕のシャツのボタンを外していった。彼の手首を掴んで離そうとするけど、やっぱり力が入らない。シャツを脱がされて下に着ていた長袖のTシャツを少し捲りあげられ、お腹を撫でられた。 「ああ、とてもすべすべしてるね。綺麗な肌だ。」 嬉しそうに言った後、僕の顎を掬って顔を上げさせ頰をべろりと舐めた。 「ひっ…」 僕は、怖くて気持ち悪くて身体をガタガタと震わせ、目に涙を滲ませた。 彼は僕の顔を両手で挟んで固定すると、唇を合わせてきた。その気持ちの悪い感触に、目をぎゅっと閉じ歯をくいしばって我慢する。するとぬるりと歯列を舐められ、驚いて少し開いた歯の隙間から舌が挿し入れられた。口の中をぬるい温度の舌が動き回る。 「んぅ…や…っ」 僕は、空いた手で押し返そうとするけど、まったく歯が立たなかった。とにかく気持ち悪くて、胃の中から酸っぱい物が込み上がってくるのを必死で我慢した。 でも気持ち悪いと思うのに、彼の手が触れたところから痺れたようになって、口から変な声が出てしまった。 「あっ…ん…っ」 「ふふ、可愛い声だね…」 彼が僕を座布団の上に寝かせて、Tシャツを胸の上まで捲り上げた。 顔を近付けていきなり胸の尖りに吸いついた。今まで何とも思ってなかった場所なのに、両方の乳首を舐められて僕の腰がもじもじと動いてしまう。 「あ…っ、んぅ…やぁ…」 僕の口から意思に関係なく高い声が漏れてしまう。 「敏感なんだね。すごくいいよ」 彼が僕の身体を舐めしゃぶりながら囁く。 僕の身体はどうなってしまったんだろう…。彼が言ってた薬のせい…?気持ち悪くて仕方ないのに身体が熱くなって震えてしまう。それが情けなくて悲しくて、涙がポロポロと零れた。 彼が、スラックスのベルトを外しジッパーを下ろして、赤黒く光る性器を取り出した。 「これを触ってくれるかな…」 僕の手を引っ張って性器を握らせる。その上から自分の手を重ねて、上下に扱き始めた。 初めて見るグロテスクな形と硬い感触に鳥肌が立ち、手が震える。僕は見ていられなくて、固く目を閉じて早く終わるように祈っていた。 少しして低く呻いた後、僕の手と腹に生暖かいものがかかった。 彼が荒い息を吐きながら僕の頰を撫でた。 「良かったよ…。今日は初めてだからここまでだね。今度はもうちょっと頑張ってみようか」 またこんな事をしないといけないのかと、僕は一気に身体が冷えていくようだった。 僕が動けないでいると、彼がぬれたタオルを持ってきて僕の腹と手を拭き、シャツを羽織らせた。 僕は震える腕でTシャツを下ろしてシャツの袖に手を通し、ボタンを閉めないままふらふらと立ち上がる。彼が何か言ってたけど耳に入らなくて、玄関に行って靴に足を突っ込んで外に出た。 外に出ると、すでに迎えの車が来ていた。

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