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第53話 記憶の上書き ※

屋敷に着くと、僕は裏口から震える足で離れまで行き、部屋に入るなりトイレに向かった。 「うっ、うぇ…っ、げほっ、げほっ…」 別邸からずっと我慢してた物を全部吐き出した。胃の中の物を全て出しても吐き気が収まらなくて、しばらくトイレに籠っていた。 少し落ち着いてきてから、僕は洗面所に行って服を全部脱ぎ捨てた。風呂場に入ってシャワーのコックを捻りお湯を出す。身体を濡らした後、ボディーソープを手にいっぱい取って身体に塗りつける。何度も何度も擦るけど、まだ腕に力が入らないし、気持ち悪さも消えてくれない。口を開けてシャワーでゆすぐけど、ずっとぬるぬるとした感触が残っていた。 僕は怖いのと気持ち悪いのが身体の中でぐちゃぐちゃになって、その場に蹲って嗚咽を漏らした。 どれくらいそうしてたのか、洗面所の外から物音がして蒼一朗が僕を呼びながら、風呂場のドアを開けた。 「燈?どうしたんだ?」 服のまま入ってきて僕の隣に膝を着く。僕の肩を掴んでこちらを見た蒼一朗が、一瞬止まって険しい顔をした。 「燈…正直に話してくれ…。何があった?」 僕は涙で濡れた顔を蒼一朗に向けて、震える唇で話し出した。 「き、今日…蒼が来れないからっ、て…違う人が学校に来て……あの人の命令だからって…別邸につ、連れて…行かれた…っ」 小さくしゃくり上げる。 「そこに知らない男の人が…いて、僕…い、いろいろ触られたり…な、舐められ、た…」 涙がぽろぽろと流れ落ちる。 「き、気持ちっ、悪かった…し、怖かったっ…うっ、うぇっ」 また思い出して嘔吐するけど、何も出る物がなくて、唾液だけがとろりと床に落ちた。 蒼一朗が僕の口をシャワーで流してコックを閉め、服が濡れるのも構わずに、僕を抱き寄せ背中を撫でた。 「燈…今、俺が触ってるのは気持ち悪いか?」 僕は首を横に振る。「そうか…」と言って僕の頰に手を当てて顔を上に向けさせ、唇をそっと合わせてきた。 唇が触れる距離で蒼一朗が話しかけてくる。 「これは?気持ち悪い?」 「ううん…大丈夫…」 僕の返事を聞いて、蒼一朗は少し嬉しそうに微笑んで、今度は深く唇を重ねる。そしてまた触れる距離で「これは?」と聞いてきた。 「大丈夫…蒼だと平気……」 「…燈、今おまえに触れてるのは俺だ。目を開けてしっかり俺の顔を見てろ。今のこの感触を覚えてろ」 そう言った後、僕の後頭部を抑えて激しく唇を貪ってきた。唇を吸われ舌を絡めて吸い上げられる。 蒼一朗が相手だと唇も頭もとろりと蕩けて、とても気持ちが良かった。 最後に唇をぺろりと舐めて顔が離れた。僕は蒼一朗を見上げて、はあはあと上がった息を整える。 蒼一朗が「甘いな…」と呟いて、僕の目尻を親指でなぞった。 蒼一朗が、僕を風呂の縁に座らせる。 「燈、ちゃんと見てろよ」 そう言って、僕の胸からお腹の辺りを強く吸う。チリチリとした痛みに「んぅ…っ」と思わず小さく声が漏れる。 蒼一朗に言われた通りに見てると、僕の身体に所々赤い点があって、彼はそこにもっと赤くて大きい痕を付けているようだった。 蒼一朗が付けた痕を見てると、胸の奥からじわりと暖かいものがこみ上げて来る感じがした。 一通り痕を付けた蒼一朗は、他に何をされたか聞いてきた。言うのは嫌だったけど、男の人の性器を握らされた事を話した。 彼は「ちっ」と舌打ちをして、ベルトを外してスラックスのジッパーを下ろし、あの男の人よりもかなり大きい、硬く脈打つものを取り出した。 僕は、その大きさと猛々しさに思わず見惚れてしまった。それに、彼の硬く反り返るそれは綺麗だと思った。 蒼一朗は、僕の髪を梳きながら「触れるか?」と聞いてきた。 僕はそっと手を伸ばして握ってみる。とても硬くて熱く、どくどくと脈打つ感触に僕の身体の奥の方がずくり、と震えた気がした。 蒼一朗があの男の人がしたように、僕の手の上から自分の大きな手を重ねて上下に動かす。 「燈、よく見るんだ。おまえが握ってるのは俺のだ。この感触だけを覚えておけばいい」 そして僕の顔を覗き込んで、唇を優しく食んでいく。だんだんと蒼一朗の唇から荒い息が漏れて、僕から顔を離した直後に熱い白濁が僕と蒼一朗の手に飛んできた。 蒼一朗が出した物だと思うと、また胸の奥がむずむずとして、不思議な、そして何故か愛しい感じがした。

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