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第57話 記憶の上書き II ※
長い時間唇を合わせてから、名残惜しそうに蒼一朗が離れていく。僕を見つめながら、僕のシャツのボタンを全部外して身を屈め、ゆっくりと舌を這わせる。僕の胸の尖りの周りを舌で優しくなぞる。触れられていない尖りがじんじんと痺れてきて、思わず蒼一朗の髪の毛を掴んでしまった。
「…どうした?」
乳首に触れる距離で言われて息がかかり、僕は身体を震わせた。
「やぁ…蒼…っ、舐めて…」
蒼一朗は、目を細めると乳首に吸い付いた。じゅっと音を鳴らして強く吸われ、舌でこねくり回される。
「あ…っ、あっ…あん…」
僕の口から恥ずかしい声が溢れ続けた。
ふと僕の下着の中がじんわりと冷たく濡れてるのに気付いた。僕は蒼一朗の肩を力の入らない腕で押す。
「ん?どうした…?」
蒼一朗の濡れて光る唇に、どきりとする。
「蒼…僕のここ、なんか変だ……」
自分の股間を指差して、眉尻を下げて訴える。
蒼一朗が、僕のズボンと下着を一気に脱がせた。
僕の小ぶりな性器がぷるんと揺れる。先端がとろとろとした液で濡れていた。
蒼一朗が、そっと握り込んでくる。
「燈、精液を出したことあるか?」
僕は首を横に振る。何となくどういう事かわかっていたけど自分で触る事もなくて、こんなふうに立つようになったのも、蒼一朗にキスをされるようになってからだった。
蒼一朗は「そうか…」と言うと、僕の股間に顔を近付けて性器を口に含み、握っていた手を一気に引き下ろした。皮で隠れていた敏感なところが曝されて、そこを蒼一朗の舌で刺激され腰が跳ねる。
「あっ、やぁ…っ」
蒼一朗が強く吸いながら頭を上下に動かす。僕は腰が震えてあっという間に彼の口の中に熱いものを吐き出してしまった。
「はぁっ、はぁっ、ん…っ!」
初めて感じる刺激にぐったりとして、あまりの快感に目尻から涙がぽろりと落ちた。
蒼一朗の喉が動いて口の中のものを飲み込む。そして僕に被さってそっと抱きしめた。
「大丈夫か…?」
「うん……蒼…僕の、飲んだ…」
「ああ、おまえのものはすべて愛しい…」
そう言うと、僕の目尻に浮かぶ涙を唇で吸った。
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