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第59話 歪な関係 ※
それからも数ヶ月に一度、僕は別邸に通った。そこで待っているのはいつも同じあの男の人だった。
僕は、蒼一朗に持たされているスマホで、セックスがどういうものなのか、男同士ではどうするのかも調べて分かっていた。だから、そのうちに後ろの孔に入れられるのだろう…と思っていたんだけど、男の人は僕の後ろの孔には触れなかった。いつも身体を触ったり舐めたりする事で満足してるようだった。
そして僕が男の人に会った日は、蒼一朗が必ず僕の身体中を愛撫して舐めしゃぶる。回数を重ねるにつれ、僕の腰の奥がじくじくと熱く感じるようになってしまい、蒼一朗の硬くそそり立つものを、僕の身体の奥深くに入れて欲しいと願うようになった。
蒼一朗は、僕の頭の上から指の先まで丁寧に撫でてキスを落とす。後ろにも触れて欲しいと僕の腰が揺れるけど、尻を触っても孔には触れてくれなかった。
僕が誰かに後ろの孔を犯されたら、蒼一朗の熱くて硬いものを入れてくれるんだろうか……。
そんな風に思ってしまうほど、もう僕の身体は、いやらしく蒼一朗を求めるようになっていた。
後ろを触ってはくれないけど、蒼一朗はキスをたくさんしてくれる。悪い夢を見て起きた時はもちろん、男の人にキスをされてなくても、蒼一朗は、僕の身体に残る記憶を上書きする間、何度も唇を貪ってきた。
蒼一朗にされるキスは、唇が溶けてしまいそうに気持ち良くて、いつも夢中で彼の舌に僕の舌を絡めて、彼の唾液をたくさん飲み込んだ。彼の唾液はまるで媚薬のようで、僕の身体を熱く蕩けさせた。
男の人とセックスはしなくていいんだ、と少し安堵していたら、やっぱりそんな事はなかった。
僕が中学生になって少しした頃、男の人に「制服姿を見たい」と言われて、制服のまま、迎えの車で別邸へ行った。そして、部屋に入るなり「今日は最後までするよ」と、僕の姿を機嫌良く眺めながら言ったんだ。
いずれはそんな日が来るのだろうと思っていたから、そんなに驚きはしなかった。
僕は、彼のものを受け入れないといけない嫌悪感より、その後の、願っていた蒼一朗の硬く熱いものを与えて貰えるかもしれない期待感の方が強くて、胸の奥が熱く震えていた。
別邸の玄関横の部屋の奥には、もう一つ八畳の部屋がある。そこには既に布団が敷いてあった。
彼は僕を布団へ連れていき、ブレザーに手をかけて脱がした。次にネクタイを取ってシャツのボタンを外していく。この頃には、蒼一朗の愛撫によって、僕の乳首はぷっくりと赤く尖っていた。それを隠す為に着ているタンクトップも脱がされて、布団に寝かされた。
「ここ、いやらしいね」
彼が、乳首を人差し指で押し潰した。
「あっ、や…っ」
敏感な所を触られて、僕は背中を仰け反らせる。
もう薬はなくても、目を閉じて蒼一朗を思い浮かべるだけで、僕の身体は少しの刺激にも感じてしまうようになっていた。
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