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第63話 歪な関係 ※
蒼一朗とセックスしてから、僕の身体はいつも蒼一朗を求めるようになってしまった。
蒼一朗に抱きしめられると、触れられた所から身体が熱を持っていく。キスをされると、僕の下半身はすぐに反応をしてしまう。
僕は、蒼一朗に挿れて欲しくて何度か誘ってみた。でも彼は、その都度、僕の性器を口や手で慰めていかせるんだ。
深いキスはくれるのに、僕の身体の奥には挿れてくれなかった。
蒼一朗は、何よりも僕の事を大事にしてくれてると思う。僕の事を愛しいと言う。僕が震えてると抱きしめてキスをしてくれる。僕が男の人に抱かれた日は、静かに怒りを含んだ目で僕を見るんだ。
なのに抱いてはくれない。
僕は蒼一朗を求めてるのに、彼は求めてくれないんだ。
それが何故なのかなんて、怖くて聞けなかった。
やっぱり僕が男だから?
そもそも、愛してなどいないから…?
そう思うと、少しだけ悲しくなった。
それでも僕の身体は、蒼一朗を求め続ける。
だから僕は別邸へ通うんだ。だって、どんなに誘っても僕を抱いてくれない蒼一朗が、男の人とセックスして帰って来ると、必ず抱いてくれるから…。
中学二年になった頃から、僕を抱く人が三人に増えた。その誰もが僕を気に入ったと言って、執拗に舐め回して奥を犯してきた。
三人のうち二人は、いつも一緒に僕を犯した。代わるがわる口にも後ろにも挿れられて苦しくて嫌だったけど、後で蒼一朗が抱いてくれるんだと思ったら、我慢できた。
僕が誰かに抱かれて帰った日は、やっぱり必ず抱いてくれた。僕が黙っていても、蒼一朗が気付いて僕を抱きしめた。
それが嬉しくて、僕は嫌悪感を押し殺して他の人に抱かれ続けた。
蒼一朗以外には、触れられるのも挿れられるのも嫌なのに、蒼一朗に挿れてもらう為に自分から彼らに足を開く…。
その矛盾した行為に、僕の暗い心が益々暗闇に呑まれて、氷のように冷えていくようだった。
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