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第十二章(⑩)※性描写あり

 服を手早く脱いでいくクリアウォーターを、横になったカトウはぼうっと眺めた。  広い肩。厚みのある胸筋。大きくて均整のとれた身体つきは、一流の芸術家の手で丹念に仕上げられた彫刻を思わせる。その裸身をカトウは初めて、あますところなく見る機会を得た。  クリアウォーターはサイドテーブルの引き出しを開けると、そこから缶入りの膏薬のようなものを取り出す。ふたを開け、中身をすくい、指を使って体温になじませていく。  クリアウォーターがにじり寄ると、カトウは自分から身体を起こした。 「――ひざの上に」  言われた通りに、カトウはクリアウォーターの上にまたがった。  後ろの孔に指を挿れられた時、カトウは少し顔を強ばらせた。でも、耐えられないほどではない。初めて経験した時の性急な交わりと比べれば、痛みはずっと少なかった。  慣らされている間、初めの内は両腕をクリアウォーターの首に回していた。だが、しばらくすると太ももを小突くものを強く意識し始めた。カトウが右腕をほどいて、そっと下にやると、すでに半分くらい固くなっていた。 「…触ってくれるなら、うれしい」  耳に心地よい声でささやかれたカトウは、おずおずとクリアウォーターのものをこすり始めた。二本の指に三本目が追加される頃、カトウは両手を使っていた。  互いの息づかいが、徐々に荒くなっていく。不思議と同じペースで。萎えていた自分のものが熱を帯び、固くなりだすのをカトウは自覚した。  クリアウォーターが指を引き抜いた時、二つの身体はすっかり準備が整っていた。  クリアウォーターが用意していたコンドームをつける。カトウに濃厚な口づけをしながら、その身体をベッドの上に押し倒し、覆いかぶさってくる。  カトウは目を閉じ、自分の身体を求めてくる相手の背中に両腕を回した。  先端が入ってきた時、さすがに指とは違う痛みと圧迫感を感じた。爪が、クリアウォーターの背中に食い込む。クリアウォーターは焦らず、ゆっくり押し開いて貫いていった。  慣らされた後孔が、少しずつ侵入者を受け入れていく。時々浴びせられる、なだめるような優しいキスが、痛みを少しだけまぎらわせてくれた。  たっぷり時間をかけた後、ついに全てがカトウの中に収まった。

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