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第2話

2年生になり、だんだんと大学の勝手が分かるようになってきた。 勉強とバイトとサークルの両立も上手くいっている。 なんというか、挫折の少ない人生を送っているような気がする。 「夏樹ー!」 「あ、栞ちゃん」 「夏樹、授業終わったでしょ?一緒に帰ろうよ」 「ごめん。長潟教授のところに…」 「えー!?またあの撫で肩のとこ行くの?」 「うん。教授の話、面白いよ?」 「うーん。オドオドしてて、なんか頼りないんだよね…、不安になる」 「はは、それはそうかも」 「でも、夏樹は楽しいんでしょ?」 「もちろん」 「変なの。次は絶対一緒に帰ろうね」 「あ、うん」 「バイバイ」と手を振る栞ちゃんを見送る。 1年生のとき、なんとなく仲良くなったけど、好意を向けられていることに気づいてからは避けるようになった。 今まで、女の子と付き合ったことは何度もあったけど、大学生になってから、そういうのが面倒くさいと思うようになった。 教授と過ごしたほうが有意義な時間になる。 栞ちゃんがいなくなったことを確認し、俺は教授の研究室に向かう。 ついでに構内のコンビニで、食べるものを買っていってあげよう。 もう3時になるけど、たぶんあの人は一食も食べていないだろうから。

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