4 / 63
第4話
「そうだ、お金っ」
「あー、いいですって。その代わり、俺とデートしてください」
「…、でーと?」
「そうです。どこか遊びに」
「えっ、えええ!?そ、それってアレだよね、意中の男女がするやつだよね!?」
「意中って…、いまどき、好き同士以外でも、同性とでもデートくらい行きますよ?」
「で、でもっ…、僕、研究室、空けられないから」
「そんな具合悪そうな体で研究できないです。外に出て、日光浴びないと、ビタミンDが欠乏します」
「えっ、いや、たぶん大丈夫、6年たったけどまだ死んでないし」
「お昼代」
「それは払うから」
「…、教授、そんなに俺のこと嫌いですか?」
「いやいや!君は熱心だし、こうして気を遣ってくれるし、感謝してるよ」
「じゃあ、行きましょう」
「…、わ、分かった」
「本当ですか!?早速、今週の日曜日はいかがですか?」
「あ、え、と…、3時間くらいなら」
「ちょっと短いですけど、この際、我侭は言いません。時間と場所は教授に合わせます」
「あ、あ、うん。じゃあ、研究が落ち着いたら連絡するね」
「はい。じゃあ、ご飯食べましょう」
「そ、そうだった」
上手いこと誤魔化して、ご飯を抜くつもりだったらしい教授を横目で睨む。
研究に没頭できる熱意はとても尊敬するけど、死なれたら一溜まりもない。
ともだちにシェアしよう!