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第7話

「あ、長潟さん、ここです」 「定食屋?」 「そうです。B級ですけど、めっちゃ美味しいんです」 「へぇ…、澤川くんの行きつけか~」 「はい。家庭的な料理が恋しくなったらここに来るんです。長潟さんがまた食べたいって思ってもらえると良いんですけど」 「それは楽しみだなぁ」 楽しそうな足取りで定食屋のドアを開ける長潟さん。 本当に華奢だし、撫で肩だし、腰なんて女の子みたい。 「いらっしゃーい!あらー、夏樹くん!」 「こんにちは」 「今日はお友達も一緒なの?」 「あ、僕、澤川くんの学校の先生です」 「そうなの…、って、先生!?」 普段、穏やかな定食屋のおばちゃんが、目を見開いて驚いている。 「こう見えて、実は30なんです、ははは~」 「やだ、ごめんなさいね。私、人の年齢当てるの下手みたいね」 「いえいえ、慣れてますので」 「おばちゃん、今日のおすすめは?」 「えっとね、日替わりは鯖の味噌煮定食だけど、自信作はしょうが焼きかな」 「じゃあ、俺、鯖の味噌煮」 「僕はしょうが焼きで」 「はーい、毎度っ。好きなところに座って待ってて」 「「はーい」」 「アットホームなところなんだね」 「…、長潟さん、こういうの苦手でした?」 「ううん。なんか、お店の人と仲良しっていいなって思って」 「俺、馴れ馴れしいんですよね…」 「そうかなぁ?僕は澤川くんのフレンドリーさは美徳だと思うよ」 「ありがとうございます」

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