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第11話

結局、教授は本を買って、俺は新刊の少年漫画を買った。 「澤川くんも、普通の男の子なんだね」 「…、俺、割と平凡寄りだと思うんですけど」 「そうかな?ほかの学生とは何か違う気がする…」 それは、俺が教授に好意を寄せているからだと思う… まあ、言わないんだけど。 「そういえば、長潟さんって、私服だと結構印象違いますね」 「え、ほんと!?」 「え、はい。より幼く見えます」 「えええええ!?ショック…」 「白衣が無いせいですかね?」 「だから同級生だと思われたのかな…」 今日の教授は、小さい柄の入ったシャツに薄手のニットを着ていた。 大学生と言われても、信じてしまう。 癖毛なんだろうけど、ゆるくパーマをかけているように見える。 でも、黒髪だから幼く見える。 黒縁のメガネも、年齢不詳に見える原因なのだと思う。 「僕、前にちょっとだけ、彼女がいたんだけど…」 「…、そうなんですか」 ちょっと意外。 彼女とか興味なさそうだし… 「デートの時に、いつもの感じで行ったら、ダサイって振られちゃったんだよね…。 だから、デートって苦手で…、服装も色々考えてみたんだけど…、 年相応に見えなかったし、失敗しちゃったな~」 しょんぼりしている教授も、なかなか可愛い。 個人的には、笑ってて欲しいけど。 「似合ってると思いますよ?」 「へ?」 「俺は、白衣の教授が好きだから、今がベストとは言えないですけど…、教授らしいシンプルで可愛い服装だと思います」 「え、えええ!?な、なんかそんなに褒められると…、困るよ」 教授はまた、頬に手を当てている。 なんか泣きそうな顔してるし。 「って!また可愛いって!澤川くん、馬鹿にしてるでしょー」 「してないですって。ほら、あの、小池徹○みたいな路線でいきましょう」 「いやいや、ポテンシャルが全然違うから!僕なんて型落ちどころじゃないよ、人種が違うじゃん」 「俺、本気で長潟さんのこと、可愛いって思ってます」 「わ、分かったから!もう言わなくていいって!なんか、告白されてるみたいでムズムズする…」 「…、これは告白です」 「……ふぁ?」 どうにでもなれと思って言ってしまった… 教授もめっちゃポカンとしてるし…、ああもう、穴があったら入りたい…

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