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第24話

*澤川 夏樹 の視点* 一ヶ月ぶりに教授を見た。 前にもまして、線が細くなった気がする… 細いというか、やつれた? 中庭に現れた長潟教授は、日の光のせいでサラサラと灰になりそうなくらい儚げだった。 「夏樹、またここに居た~!最近のブームなの?」 「ブームっていうか、まあ、居心地はいいかも」 本当は居心地がよいとか、そういう理由で中庭にいるわけではない。 運よく窓が開いていれば、ここから教授の研究室が見えるってだけ。 結局、俺は長潟さんを諦め切れていない。 「あ、撫で肩じゃん。外に居るの、初めて見たかも」 「そうだね。インドアだよね」 「なんか…、前にもまして、薄くなってない?」 「薄い?」 「なんかあの教授、細いとか痩せてるっていうより、薄いって感じがするんだよね。吹いたら飛びそう」 「ちょっと分かるかも」 「…、なんかムカつく~」 「え?」 「なんかさ、あの教授の話してる時だけ夏樹の食い付きがいいんだもん。ジェラシー」 「そ、そう?自分ではそんなつもりないんだけど…」 「夏樹の中で、栞があの教授に勝てないの悔しい」 「はは、なんの勝負?」 「まーた、はぐらかして…って、ゲ、たぬき親父いるじゃん」 「たぬき親父?」 「ほら、今、長潟教授と話してるじゃん」 「ああ、工学部の…」 「あいつ、やばいらしいよ」 「え?何が?」 「ホモなんだって~。しかも、見境なく生徒とかにも、手、出してるんだって」 「…、何それ?」 「工学部で退学した子の何割かはアイツのせいなんだって。怖くない?」 「…そう」 それって…、長潟教授も危なくない?

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