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第13話

「──名前呼んで」 「ん…正和、さん」  震える声で名を呼べば、電話越しに息を詰めるのが伝わってきて、彼もヤラシイコトを始めたのだと気付いた。 「純、もっとゆっくりだよ」 「っ……もっとって……別に」 「純はせっかちだからなあ。思いきり扱いてるでしょ」 「~~っ」 「ほら、優しく握ってゆっくり擦ってごらん」 「……いじわる」  唇を尖らせてそう返すけれど、彼の言葉に逆らえなくて、言われた通りにゆっくり扱く。 「中途半端にイクと辛くなるから言ってるのに。それに焦らされるほうが好きでしょ」 「それは、正和さんが」  彼がそういう風に触るから、自分では上手くいけなくなってしまったのに。それをまるで好き者みたいな言い方をされたら堪らない。 「そうだよ。だから言う通りにしてごらん」  欲情してほんのり掠れた彼の声に腰骨の奥がぞくりと震える。瞼を下ろして視界を遮ると、いつものように意地悪げに目を細めた彼がすぐ近くにいるような気がして、全身がかあっと熱くなった。 「はっ、あ……これ、やだ」 「じゅーん、我慢だよ」  正和にされるのと違って、自分で焦らすのはいつも以上に耐え難い。苦しいほどに張り詰めて、手が勝手に動きそうになるのを堪えながら、やんわりと動かす。  離れているのだから、我慢しなかったとしてもバレることはないだろう。そう思うのだが、その先の快感を期待して、彼の甘ったるい声音に支配されて、素直に従ってしまう。 「指、舐めてみて」 「え……?」 「その指でまた胸触って」 「ん……ふっ…うぅ」  彼の長くて厭らしい指を想像しながら舌を絡めてみれば、ますます気持ちが高ぶって、全身が鋭敏になる。  下肢がシーツに擦れただけで、痺れたような愉悦が頭の天辺から爪先まで駆け抜けて気持ちいい。  蕾がひくりと疼くのには気付かないふりをして、胸の尖端を優しく抓る。濡れた指でそっと捏ね回すと、舌で責められているような心地がして、下腹部にじん……と甘ったるい痺れが広がった。 「あっ…まさかず、さん……っ」 「じゅん」 「はっ、ぁ…ぃく」 「まだ我慢して」  腰から下が蕩けそうなほど気持ちよくて、絶頂を迎えそうになる。けれど、彼の制止の言葉に男根をぎゅうっと握り締めてやり過ごした。 「うぅっ……もう、いきた…っ、いかせて、ください」  限界まで追いつめられた純の瞳はじわりと濡れて、荒く短い呼吸を繰り返す。行き場を失った熱が腹の中で渦巻いて苦しい。  早く楽になりたくて、込み上げる羞恥心を押し殺して、遠く離れた恋人に許しを請うた。それなのに。 「まぁだ。そのままピアスぐりぐりしてごらん」 「やだ、もう──」 「じゅーん」 「っ……」

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