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第8話
夜人side
昔からよく絡まれた。身に覚えはないが、恐らくこの髪だろ…。父はフランスの人で、母は旅館の一人娘だった。その母のところに婿養子として父が入ったのだ。
母は綺麗な黒髪で、兄もその血を強く受け継いだようだが、俺は父親の血を強く受け継いだために金髪だ。
「よっしゃ!!SSR!!」
「あ、あの…。眠子くんを呼んでる……」
「…………はぁ……、またか…」
絡まれるため喧嘩は強くなるし、ちょっとかじった護身術などで返り討ちにしていた。そうしないと、自分の身が危ないから
しかし、高校に入ってから余計絡まれるようになった。それも同い年だけじゃなく、先輩からも…。最近はそれもパタリと止んで安心してたのに…。
「君が、眠子でしょ〜?」
その声にドクッと心臓が大きく鼓動を打ち発情した……。そろそろだと思っていたが、今発情期が来るなんて…。この二人はαだ。
まだ視界には二人の姿を捉えていないが、俺のフェロモンに誘発されて漏れたαのフェロモンにやられそうになる…
逃げなきゃ………。
注射器型の抑制剤を打ち、走り出した。
保健室に行けば、錠剤タイプのものがあったはず……。
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