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第35話

翡翠side と、言う報告を今さっき受けた俺と、魅夜は、二人のことをお祝いした。 「長かったね〜!それじゃ、次の発情期の時に番なるんだねっ?」 「その時は二人気にしてあげるから。母さんたちも!ちゃんと家空けてよ?」 「ふふっ、分かってるわよ。そこまで野暮じゃないわ。乱華くん、夜人のとこ宜しくね。あら、貴方泣いてるの?本当に泣き虫なんだから……」 「可愛い息子の旅立ちなんて…うぅ……。良かったよ、いい子が夜人の運命の番で……。良かった…うぅ……」 泣いてる父さんと、それを微笑んでみてる母さん。夜も、乱くんも、わたわた してる 本当に暖かい家族だよなぁと、呟く魅夜。魅夜の両親も優しいが、二人とも医師で帰りが遅く、祖父に育てられたのだ。 「家族か……。いいな…」 「魅夜……」 みんなでご飯を食べた後、俺の部屋で魅夜と二人。ぽそっと呟いたその言葉は、悲しげに消えていった……。 一年前、魅夜を育ててた祖父が亡くなった。その祖父に教えてもらったガラス細工を引き継いだ魅夜。休日になるといつも楽しそうに作っているが、やはり寂しい見たいだ。 「僕ね、兄が居たんだ。兄は病弱で、入退院を繰り返してた。いつも家に居るわけじゃなくて、たまに会えても長時間は一緒にいることが出来なかった…。三年前、兄は手術のために海外に行って、母さんも一緒に…。父さんは、僕のために仕事を頑張ってくれた……。いつも家にひとり…」 「……寂しいな…。俺も小さい頃はよく一人だったよ。夜人が生まれてからは、世話に追われてた…。母さんたちは、仕事で忙しかったから……」 「うん……寂しいね…。一人に慣れることが出来たら楽だったのに…。でもね、そろそろ兄さんが帰ってくるの。手術は成功して、リハビリもして、一人でも生活できるくらいになったんだって…」 「そっか、良かったね…。それじゃ、久しぶりに家族揃って食事できるの?」 「うん。3日後、僕が作るの。なにがいいかな…。みんなに喜んでもらえるものがいいな……。僕、家族の好きなもの作りたくて考えてた……そしたらね…、なにも思いつかなかった…。おじいちゃんの好きなものも、両親や兄の好きなものはなにも思いつかなかったの……。僕の家族なのに…なにも、なにも知らなかった……」 そう言って泣き出した魅夜…。様子がおかしいと思っていたが、そう言うことだったのか…。 魅夜は、家族の愛を知らずに育ってしまっていた…。祖父は職人肌で何かを語る人ではなかった。一度会ったことがあるが、見た目に反して恥ずかしがり屋で…。 魅夜の前では言わなかったが、彼の作品を褒めていたし、料理はなにを作っても美味いとそれは嬉しそうに魅夜の魅力を自慢するように語ってくれたのを今でも覚えてる。そして、魅夜と仲良くしてくれてありがとうと頭を下げられたことを……。

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