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第4話

  「正直に言いたまえ。洗濯籠からくすねたパンツを大いに活用していると」 「かっ、かぶったことは認めるけど……あっ、びりびりくる……洗濯ずみのやつだ……うっ、チ〇ポがひしゃげるぅ……本当は脱ぎたてのパンツを頬張りたいのを我慢したんだ!」    どんびきやわぁ、という空気が流れた。  話は前後するが、このアパートの間取りは2DKだ。引き戸を開け放つとダイニングキッチンとひとつづきになる洋間を真輝が、玄関脇の独立した洋間を昴がそれぞれ使っている。  丑三つ時に、昴が真輝の部屋に忍び込んで、すやすやと眠るその枕元で自家発電に及んだ回数は十指に余る。  また真輝が寝ぼけて完勃ちのペニスをすりすりし、 「かちんかちんのキノコ見ぃーっけ、むにゃむにゃ……」  うっ、どぴゅ、ヤバい、顔にかけちゃった。昴が図らずも顔射劇を演じたのちに隠蔽工作に励んだことは、マル秘中のマル秘だ。  閑話休題。  昴は真輝の足下にひざまずくと、 「好きなんだ、好きで好きで好きで、もう限界なんだ!」  狂おしくも鬱陶しいばかりに身をよじった。  ばななマンが真輝の背後に位置どり、ADよろしくカンペで指示を出す。〝そこで唇を嚙みしめてうつむくのだ、桐原兄がほだされしだい突破口が開ける〟。  実際、雨天の捨て犬のようにしょんぼりしたさまに真輝は罪の意識に苛まれた。丸まった背中に、そっと手を載せて囁く。 「おれが鈍感なせいで苦しめてきたんだね。気持ちに応えるのは難しいけど、昴はかけがえのない存在だよ」 〝難しい、と解釈に幅を持たせるあたり脈がある証拠。ここを先途とオーソドックスに泣き落とし戦術で行け、行くのだ〟。    昴は小さくうなずき、涙を浮かべてみせた。  真輝は底抜けのお人好しで、同情を惹く作戦が有効とたちどころに答えをはじき出した、ばななマンの慧眼たるや恐るべし。

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