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第9話 *
「ああ、あ……あ……は、ぁ、……っ」
「いいか? 声が甘くなってきたぞ」
「あ、は、ぃ、ぃぃ……な、なんでこんなぁ……っ」
目と口がひらきっぱなしになって、雫がこぼれる。頭がおかしくなりそうな快感だった。王の性器が身体に埋まると、それがここに収まるのが当たり前だったのだというような感覚にとらわれる。自分はΩで、本能はαを求めていたのだと。身体と心が満たされる。こんな充足感は、今まで誰もロンロに与えてくれなかった。
この人は、自分の、番。
運命の人。
α。
唇が、感動にわななく。そして限界超えの凄まじい快楽がやってくる。
――ああ、離さないで、もう、このまま。
自分の全てが、この人のためにある気がした。この人と出会うために生まれてきたんだという確信が、心の底に生まれてくる。ふたりはひとつ。ふたりでひとつの存在。
その閃きは、同時に背後の相手も感じたらしい。王は性器を震わせて、低く呻いた。
「私の番」
そして、ロンロの首にはめてあった革のベルトに噛みつく。ベルトはたやすく引き裂かれ、白い首があらわになった。
ロンロは、噛まれる予感に背筋を震わせた。
「噛んでっ……お願い」
首が熱を持ち、痛みを待ち望んでいる。汗ばんだその場所に、王が犬歯を食いこませた。
「――ああっ」
瞬間、ロンロは未曾有の快感に高く叫んだ。閃光のような絶頂が全身を包みこむ。目の前がチカチカして、意識が遠くに飛んだ。
死ぬんじゃないかと思った。あまりにも強烈すぎて。
「ああ、あぁ……、あぁ……」
ガクガクと四肢を震わせると、王が抽挿を開始する。そうなるともう何も考えられなくなった。
「どうだ、苦しくはないだろう」
「あ、はぁ、あ、……」
返事などできない。
「お前はもう、私だけのものだ」
濡れた音をたてて、何度も、何度も抜き差しされる。
「誰にも奪わせない」
噛みついた肌に舌をあてて、熱い吐息をもらす。
「誰がなんと言おうと、お前は私の妃だ」
そして一層激しく腰を使い、ロンロの奥で、熱い雫を弾かせた。
「……ああ、ん、んんんッ……」
背をしならせて、ロンロもまた逐情する。王は煌めく毛皮を欲情に波打たせて、さらに奥まで剛直をねじこんだ。
三日三晩、王は地下室でロンロを蹂躙した。眠りもせず、食事も取らず。ただひたすら細い身体を犯し続けた。
四日目の朝、王はぐったりしたロンロを背に乗せて、やっと地下室から出てきた。
その頃には、毒のような彼のフェロモンも収まり、犬族Ωは、長い苦しみから解放されて安堵の息をついていた。
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