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第21話 信頼と愛情

 グラングは狼に姿を変えると、ロンロも犬に変身させて、首根っこをくわえた。  そうして森の麓にある川までひとっ飛びで駆けてゆき、一緒に水の中に飛びこんだ。身体を隅々まできれいに洗って、やっと人心地つく。川辺でひとしきり遊べば、すっかり夜になっていた。  城に戻ってベッドに入ると、すぐにヒトになる。そして抱きあった。 「グラング、僕、あなたに目が悪いなんて言ってしまってごめんなさい」 「いい。気にするな。あれのおかげで、私はお前のことがよりいっそう好きになったのだから」 「ええっ。どうしてですか」 「事実をハッキリと口にされて、衝撃を受けたのだ。今まで、私に面と向かってあんなことを言った者はいなかったからな」 「そ、それは……そうでしょうね」  ちょっと冷や汗が滲んでしまう。けれどそれも可愛らしいと言うように、グラングはロンロにキスをしてきた。 「これからも、私のそばで真実を伝えてくれ。お前のことは信用している」  小さなロンロを包みこむようにして抱きしめる。  ロンロは護られているようで、同時に、この孤高の王を護っているような、切ない気持ちにもさせられた。

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