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第25話 *

「運命の番じゃなくても、僕はきっと、あなたに出会ったときに、好きになっていた」  白金狼が喉の奥で唸る。 「だって、すごく素敵で、優しくて、立派な王様だったから」  大きな力強い手がロンロの内ももを乱暴に掴んでひらく。しかし抵抗しなかった。 「沢山、可愛いって言ってくれてありがとう。すごく嬉しかった。美味しいものや、ふかふかのベッドをありがとう。僕、生まれてきて、一番幸せな時間を、ここですごせました」  グラングは聞こえているのかいないのか、唸り声しか発しない。ロンロの肌にギリリと爪を立て、自分のほうに引きよせる。グラングの股間には、いきり立った剛直が天をついていた。αの性器は太く長く、そして硬い。これで一晩に何度も突かれると、いつも、おかしくなったみたいに感じてしまう。  ロンロの後孔も、快楽を予感して、じわりと濡れた。 「だから、あなたを助けることができて、嬉しい」  瞬間、長剣のような、巨大で獰猛な塊がねじこまれた。今までにないほど、凄まじく熱い。粘膜が摩擦で灼き切れそうになった。 「あ、あ、ああッ――」  グラングが一気に奥まで突き入れる。体内の柔らかな道が、グラングの分身で形を強制的に変えられる。臓腑を打擲されて、脳髄まで快感が駆け抜ける。  ロンロは意識が遠のいた。  気持ちいい――死ぬほど。快楽が強すぎて、全身の神経がビリビリする。 「あ、あ、あ」  声が出なくて、か細い喘ぎだけがもれた。  グラングも快感を覚えたのだろう、背を丸め、低く呻いた。 「……ロンロ」  挿入しただけで、グラングは果てた。太い性器が震え、飛沫がへその下あたりで弾けるのがわかる。けれど、こんなもので終わるはずはない。グラングは更に深く、己の怒張を差しこんだ。αのペニスの根元には、大きな瘤がある。それが無理矢理ねじこまれる。 「あ、や、あ、ああっ」  グリグリと薄い粘膜を抉りながら、瘤はロンロの中に収められてしまった。こうなったらもう、グラングが正気に戻るまで抜いてもらえない。 「ロンロ……ッ」  グラングが悲痛な叫びをあげた。 「こんなこと、したくはない」  白金狼の目に涙がにじむ。 「したくはないのに、とめられん」  グラングは泣きながら腰を進めてきた。  ズッ、ズッと深い音が後孔からもれて、ロンロの小さな尻はその度に大きく揺すられる。フェロモンのせいだろう、痛みは全くなく、ただ泥沼に沈められるような苦しいばかりの愉悦があるだけだった。 「だいじょ、ぶ、んぁ……い、いい、から……ぁ、ぁ」  ロンロの小さなペニスも、勃ちあがりユラユラと揺れている。抽挿が激しくなる。抜き差ししているわけではないので、グラングのペニスは、ロンロの中で前後しているだけだ。瘤がひっかかった門は、穿たれるたびに大きく引き攣れた。  身体が壊れそうだった。グラングの攻めはいつもよりずっと酷烈で、終わりは全く見えなかった。こんな行為に、身体が何日も持つはずがない。  ロンロは手足から力が抜けていき、やがては四肢をだらりと床に投げ出した。下半身をつらぬく楔の存在だけが、自分を支配していく。けれど、恐怖はなかった。快楽神経がそれを麻痺させていた。 「グラング、グラ……ン、グ……」  うわごとのように相手の名を呼ぶ。もう何も考えられない。 「好き、好き、だから、だい、じょ、ぶ」  泣かないで、グラング。お願いだから。  グラングは力一杯ロンロを抱きしめてきた。 「私の番、私の命」  愛情あふれる言葉に、心が満たされていく。意識が薄くなっていく中で、ロンロは自分の内側から、何か新たなものが生まれてくるのを感じていた。  今までにないほどの、歓喜の蜜があふれてくる。グラングを受け入れている場所が熱に蕩けていくようだった。 「……あ、す、すご、ぃ……。ぃ、ぃ、く……っ」  αの精液が、Ωの本能を開花させ、身も心も本物の番へと覚醒させていく。ロンロはそれにのみこまれるように逐情していた。 「は……ぁ、ぁぁ……あっ」  全身を戦慄かせ、愛する人に与えられた絶頂に身を任せる。  そして白濁を吐き出しながら、ロンロは恍惚の闇へと落ちていった。

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