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第26話 証し
ぼんやりと目覚めたとき、周囲は明るい光に満ちていた。
だから、ああ、ついに死んだのかな、と思った。
けれど、その後に、急に全身に痛みがやってきた。そして下肢がひどくだるい。
「目覚められたか」
枕元で誰かが声をかけてきて、ロンロは目だけ動かした。
「……あれ? 僕……?」
生きてる?
「よく生きておられた。もう大丈夫じゃ」
それは、あの老学師だった。
ロンロが寝かされていたのは、王の寝室だった。
そこに、老学師の他に、司教や家臣、ララレルがいる。王は離れた場所で、椅子に腰かけていた。
「陛下、ロンロ様がお目覚めです」
声をかけられて、グラングがゆっくりと立ちあがる。その姿は、疲れ果て、今にも倒れそうだった。
「僕、……死んでないのですか」
「ああ。よく持ちこたえられた」
老学師が穏やかに微笑む。
「王は薬が切れるまで、十三日間、そなたと繋がったままでいた。その間、飲み食いも、眠りもせずに。十四日目にやっと王は身を離された。そなたは瀕死の状態で、それでも生きていた。その後十日間、昏睡状態で高熱にうなされ、毛もすべて抜け落ちてしまった。しかし、女神の加護で、救われた。これは奇跡だ」
グラングが、ベッドまでやってくる。目は落ちくぼみ、無精ひげが生えていた。
「ロンロ」
枕元に腰かけると、頭を撫でてくる。ほぼ禿げてしまった頭頂部には、フワフワの新たな毛が生えているようだった。
「助かって、よかった」
「グラング」
そして、身をひねって後ろに立つ司教に向き直った。
「これで納得しただろう。ロンロは私の妃だ」
司教は眉間に皺をよせ、こちらを見つめていた。
肉太いあごをグッと引き、重々しく一言告げる。
「……もう一度、確かめさせて下さい」
その言葉に、ギョッとなった。
「――え?」
もしかして、また十三日間まぐわえと?
「よかろう」
グラングの答えに、蒼白になる。
「え。え? ……あの、もう一回だと、今度は、ホントに……死にますが」
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