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第36話

今朝起きた時のままだったベッドに、背中が沈み込む。 月形が俺の胸板を上から押さえ、腰に跨がってきた。 「なんで冬服……!」 そう言われてもまだ4月だ。 彼がもどかしそうな顔をして、俺の着ているジャケットの合わせをつかんだ。 ボタンを引きちぎられそうな、その勢いに驚く。 「分かったから待てって!」 俺は上に乗っている月形をなだめ、自らジャケットのボタンを外していった。 その間にこいつは自分のジャケットを脱ぎ、シャツまでするりと脱いでしまう。 乳白色のきめ細い肌が、ぱっと視界に広がった。 唾を呑み、俺はその姿を見つめる。 月形の肌から、ふいに甘い匂いが香った気がした。 冷静になってみれば、それはシャツについた柔軟剤の匂いか何かだろう。 けれども俺はその香りに触発されてしまい、気がつけばベッドの上で体勢を入れ替えていた。 俺が上になり、月形の肌に触れる。 自分と同じ、男の体とは思えない。 手のひらに吸い付くその肌に、俺は魅了されていた。 やわらかい臍の周りを指で撫で、体をずらしてそこに唇を落とす。 「んっ、はあ……」 甘いため息が月形の口から漏れた。 そちらに目をやると、彼は唇を半開きにし、余裕のない表情をしている。 伸び上がってキスをする。 シャツの前を開けていた俺の腹に、月形の肌がぴったりとくっついた。 背中にこいつの腕が回る。 キスをしながら抱きしめ合うと、触れ合う部分がとろけそうに気持ちいい。 頭がクラクラした。 「泉くん……ふうんっ……」 「……月形……はあっ」 お互いの体が、二乗に比例する関数のグラフみたいに高まっていく。 肌を探っていた手が彼の胸の先に引っかかって、月形が甘い声を上げた。 「やぁ、そこ……」 嫌なのか、それとも触ってほしいのかはかりかねる。 ……どっちでもいい。俺は自分がそうしたくて、その小さな胸の突起を転がした。 「泉くん……優しく……」 「優しくすれば気持ちいいのか」 答えはイエスらしい。 そのうちに、月形がとろけた顔で腰を揺すり始めた。 制服の前が張って、彼の昂ぶりを主張している。 普段は余裕たっぷりの月形も、こんなふうになるのかと思うと愛おしい。 布越しにそこへ手を触れると、恋人の生々しい息吹を直に感じた。 「すご……」 「泉くんが……いっぱい触るから……」 どっちかというと、月形の方が俺の手に押しつけている気がする。 「お前かわいいな」 それから涙目の月形をこれからどうしてやろうかと考えていると、俺の方がよっぽど張り詰めた状態になってしまった。 「悪い、ちょっと……」 俺は一旦ひざ立ちになり、自分着ているスラックスの前を緩める。 先に脱ぐのも恥ずかしいが、制服の中は狭くて苦しかった。 ファスナーを下ろすとすぐ、その隙間から月形が手のひらを入れてくる。 いきなり触られるとは思わずに、びくりと震える。 「おっきいね……」 「……っ……」 なんて答えていいか分からなかった。 息を乱しながら、月形が言ってくる。 「これがほしかった、ううん……ほしいです」 「月形……」 「A判定のご褒美に」 恋人の明確な要求を前にして、体がまた一段と熱くなった。 頭にまで血がのぼってしまい、卒業まで待とうなんていう殊勝な考えは飛んでいく。 「ああもう……! 本気で泣いてもやめないからな」 「泉く……わっ!」 月形のほっそりした腰をつかみ、尻をこちらに向けさせた。 スラック越しでも、小さく引き締まった双丘の形が丸わかりだ。 そこを今夜好きにするのかと思うと、喜びに叫びだしたい気分になってしまった。 「泣いても、やめなくていいから……」 「月形……」 「いっぱいしてください」

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