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反省
瞼を開けられない。
爪先さえ動かすことができない。
身体のあちこちが痛み、悲鳴を上げている。
下半身が泥のように鈍く重い。
それでも何とかこじ開けるようにして目を開くと、粗末なベッドの上に転がされていた。
目の前には鉄格子があり、見張りなのか見たことのない犬の獣人が手持ち無沙汰に座っていた。
身体は…清められてはいたが、貫頭衣のような服を着せられ、下は何も着けていなかった。
「…あの…」
気付かないのか、無視される。
もう一度呼び掛けた。
「あの!」
ゆっくりと振り向いた犬は、あぁ…と声を上げ、立ち上がると何処かへ行ってしまった。
ここは何処なんだろう。
地下牢?
いつまでここにいなくちゃいけないのか。
まだ正常に働かない頭をフル回転させるが、全くもって正しい思考が戻ってはこない。
「気が付いたか。」
世話役の大鷹のアクトがやって来た。
年の頃は初老だろうか、この人はこんな所にいながらも、人間の俺達に優しくしてくれていた。
「脱走なんて馬鹿なことを考えるからこんな目に遭うんだ。
これだから人間は…
もう二度と逃げ出さないと誓うのなら、楼主にとりなしてやろう。
ガンガン稼いで金を返して、さっさとここから出ていけばいい。」
呆れたように言われたが、YESともNOとも言えず黙っていた。
「早く楼主の機嫌を直さないと、あのお方が納得するまで、お前は毎晩違う4人の獣人に犯されるぞ。」
ぶるりと身体が震えた。
いくら男娼でも、こんなのは、もう嫌だ。
客を取る方がまだマシだ。
「…二度と…逃げません。約束します。
だから…お願いします。ここから出して下さい。」
振り絞るような声で、懇願する。
「…分かった。ちょっと待ってろ。」
全く…人間って奴は…とブツブツ言いながら、アクトが去って行った。
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