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躊躇②
瞬間、俺の中の雄が牙をむいた。
抑制剤が効いているはずの身体は、雌を欲情させるフェロモンを撒き散らし始めた。
「…あ…」
ひと言言ったっきり、瑠夏はぶるりと身体を震わせ、潤んだ目で俺を見つめている。
肉筒が柔らかく蠢き始めた。
俺の指を締める後孔は切なくヒクつき、とろりと甘い匂いのする愛液を流していた。
お互いに反応している。
匂いに、触れ合う肌の熱に。
こんなの…初めてだ…
今までだって、何人ものΩの訓練を施してきた。
けれども、俺自身が反応することは…なかった。
瑠夏だから?
まさか、運命の番?
砕け散った理性のカケラを何とか引き寄せ、スキンを掴むと口で引き破り、怒張するそれに被せた。
乳首や他の場所を丹念に愛撫してやる余裕は、全くなかった。
「…入れるぞ。」
滑る後孔にぴたりと当て、少しずつ少しずつ出し入れするとくちゅくちゅと音が響き、瑠夏は逃げを打つ。
その腰を引き寄せ、胸や喉元を撫で摩りながら、快楽の淵に落としにかかる。
歯を食いしばって耐える瑠夏の唇を優しく開けて
「声を出せ。その方が客は喜ぶ。」
口から溢れる言葉も艶めいて、αのフェロモンが瑠夏を覆い尽くしていた。
抗う思考も気力も無くなったのか、それに応えるように、瑠夏から極上の甘い匂いが漂ってきた。
瑠夏の、動きを増した肉襞に逆に愛撫され、その凄まじい本性に危うく気をやりそうになる。
ここまで俺を翻弄するΩには出会ったことがない。
恐らく無意識にであろう、俺を煽り夢中にさせる。
目に映る妖艶さと中の締まり具合は、極上のΩだ。
「あああーっ!」
悲鳴を上げて瑠夏が達した。
白濁の液は、シーツに振りまかれたようだ。
「くっ」
俺も薄いゴム越しに、己の欲を吐き出した。
マズい、止まらない。
引き出そうにも、瑠夏の中が俺を求めて吸い付いている。
「瑠夏っ、緩めろ!力を抜け!」
「…だって、どうしていいか…分かんない…」
涙声の瑠夏は、ふるふる首を振る。
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