15 / 29
躊躇③
このままだとスキンに入りきらない量が、溢れ出してしまう。
こんな、放出のコントロールができないのも初めての事だった。
誰かに抱かれるのも初めてのくせに、α を誘う術を本能的に身に付けているΩ 。
あの桜の花が舞うあの場所で見た笑顔の瑠夏と、本当に同じ人間なのだろうか?
戸惑いながらも欲望のままに、目の前の男娼の腰に再び穿ち続ける。
最初につけたスキンはもう、役に立ってはいない。
大量の精液が後孔から溢れ出し、摩擦で白く泡立つのと卑猥に滑る音で、己の欲を自覚させられる。
瑠夏は俺の揺さぶりに身を任せ、嬌声を上げている。
その様は美しく淫らで、俺はますますこの行為に溺れていった。
何度吐き出しても満足することができない。
瑠夏はもういつの間にか、完全に意識を失っていた。
それでもなお、その身体に欲を注ぎ込んだ。
夜が白々と明け染める頃、やっと冷静になった俺は、瑠夏の身体を自由にした。
吐き出された2人の欲望と、汗と、一握りの涙とに塗れても、瑠夏は泥水に咲く蓮のように気高く美しかった。
乱れた前髪を掻き上げてやる。
「…ん…」
瞬きを繰り返し、瑠夏が起きてしまった。
「目覚めたか?
初めてのお前に無体をしてしまった。
すまない。
これを飲んで…」
ゆっくりと身体を起こしてやり、念のためにと飲むように促したのはアフターピル。
まだ完全には目覚めていない瑠夏を起こし、水を含ませ飲ませてやった。
「…ありがとうございます…おはようございます…」
真っ赤になり俯く瑠夏を抱き、俺専用の風呂へと連れて行く。
「あっ、あのっ!俺、1人で」
「あれだけ抱き潰したんだ。1人では歩けまい。
後始末をするから、それも覚えろ。」
瑠夏は黙って頷いた。
あぁ…この光景は、半年前と同じなのに。
ゆったりと歩を進めながら、じりじりと焼け付く胸の痛みに耐えていた。
びくりびくりと反応する瑠夏の後孔から、己の体液を掻き出しながら、瑠夏に告げた。
「ここでしばらくお前を預かる。」
瑠夏は何の感情もないビー玉のような瞳で、俺を見つめ頷いた。
ともだちにシェアしよう!