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第15話

 触れればピクリと反応する身体の、問題は股間がどうなっているかだった。その機能が有るとは聞いていたし、ペニスは見た事がある。けれど、もしかしたら両性具有なんて事も有るかも知れない。  いきなり足を開かせる訳にもいかないので、まずは控えめにイチのペニスを握ると、俺の掌の中でむくむく成長して来てイチ本人が目を見開いた。 「彩我、形が変わった。説明通りだ」  自分の身体なのに、家電の説明書通りに、勝手に氷が出来たよー!みたいな言い方をするのに笑ってしまった。  本当こいつ、色気をどうにか出せないのかな。 「どんな感じ?」 「変な感じ。こっちだ、陰嚢の内容物が移動して勃起させてる」  細かい構造なんか最早どうでもいい。 「触るとピリッとする所が有る。これが快感スイッチだな」  俺の手を押し退けて、ほーぅと感心しながら自分のちんこを弄っているイチの肩を後ろに押し倒した。 「冷めること言うなよ」  上に被さって足の間に身体を滑り込ませて、もっと奥、股間を手で探る。内容物がペニスに移動した陰嚢は中身がなくなってふわふわ柔らかい。  その更に奥。ドキドキした。イチの秘めた場所を暴いて、俺の物にする。死ぬほどドキドキする。 「ちょっ……彩我」  ベッドの上でイチが身じろいだ。 「逃げるなよ。確かめないと困る」 「無いから、何にも無いから」 「無きゃ無いで困るんだよ」  探していた場所に指先が触れて、ドキドキする。どうしようも無く焦がれる。どうやら穴は一つで、普通に男性体。一つ、イチの秘密を知ってたまらなくなる。 「自分の事なのに分からない事がいっぱいで怖い」 「怖くないよ、二人で知ればいいんじゃないかな」  試しに指を入れてみたら、入る。中に触れた時ピクリと細い身体が跳ねた。 「あ………」  吐息に混ぜた小さな声が唇から漏れて、蠢めく中が次第に濡れて来る。ローション要らずらしい。  けれどそれは同時にオーダー主がどのようにイチを使いたがっているかの証明だ。 「そこ、スイッチが有る……」  俺は上から舌を出してイチの唇ギリギリの位置で誘う。イチは躊躇った後で自分も舌を伸ばして触れて来た。唇の上で舐めて絡ませ、吸い込む。 「もっと、伸ばせよ」  迎え入れたのは俺の口腔で、イチの舌を前歯で軽く噛んで唾液と一緒に押し返した。 「んんっ……」  今度はイチの口の中でねっとり絡ませながら、手は足の間を弄る。考えてみると食事をしないイチのここはセックス専用機能。二本三本と慣らしもせずに指を入れても難なく入った。 「変、彩我、変」 「何が?」 「身体のバランスが、腰が重くなる」  最初はつるんとしていた中が今は細かくざらつくように変化して、イチが腰を揺らすと指に絡んで吸い込むような動きをする。  もっと奥へと指を進ませると、ずっぷり音がする程にぬめる液体が溢れて来る。 「あ……、変、変」 「どんな風に変?」  イヤイヤをするように首を振ったイチには、本当に分かっていないようだった。 「それ、気持ちいい、だよ」  耳元に囁いて教え込んだ。 「気持ちいい?」 「そう」  アンドロイドに快感が有るのかどうかは分からない。けれど相手に見せるためにそのような反応はする。 「挿れていい?」  尋ねると、イチは唇を震わせながら頷いた。それを確認してから先端を少し挿れただけで、後は仰向けで足を開いているイチが勝手に腰を揺らして飲み込んで行く。 「挿って来る」  イチは教えなくても白いシーツの上で身をくねらせて、取り込み方を知っていた。  いやらしく揺らす腰つき。けれど表情は信じられないとという風に、目を見開いて俺を見上げている。  やばい。そんな顔をしている自体、まるでついて来ていないのに、イチの中が気持ちいい。腰を振る度にオイルの滑りてどんどん奥に入って、後は締め付けと内壁の細かな突起で咥えて離さない。 「うぁっ……」  思わず声が漏れた。  動くと潤滑油で溢れる程グチャグチャに濡れながら吸い上げて、食われてるみたいだ。主導権は俺にあったはずなのに、挿入したら呆気なく奪われた。 「やばっ……」  はぁはぁと俺の呼吸が上がって行く。 「彩……待って、追い付け無い」  そんなの無理。  イチの内部は相手に快感を与えるように作られている。イチ本人はどうあれ、ここに挿れたらたまらない。  俺はイチと指を絡めて手を繋いで、より深くと腰を沈めた。 「待って、彩我待って」  じわりとまた濡れた。  待てと言われても待てない。快感がどんどんどんどん加速して行く。 「重っ……」  どこが重いのか。  抱きしめた汗をかかない肌はさらりと心地良くて、そして嘘みたいに細い。そんな身体に腰を打ち付けて、唇を貪って、俺の唾液がイチの顎を伝った。  小さな悲鳴を上げながらイチがベッドの上で揺れて、ずり上がって枕の方に逃げるのを腰を掴んで引き戻す。 「イチ、ちょっと、緩めて」 「無理。加減がわから無い」 「ヤバイ、マジでヤバイ」  俺が動かなくてもイチの中が勝手に動く。  腰に震えが来て、全速力で駆け上がって行く。 「イチ」  堪えようとしてやり過ごせる程じゃなくて、特化した機能の凄さを身を以て体験してしまった。  イチの中に吐精して力尽きた後は、搾り取られたような脱力感がどっと来て布団に沈む。 「あー……」 「彩我、大丈夫?」  なのにイチはケロリとしていて、凄い体力。というか疲れる事が無いのか。  イチの抱き心地は凄い。途中で一旦抜こうとしたけど、引きずられてイかされた。中の構造も身体その物も、男に快感を与えるために有る、正しくラブドール。  何の目的でイチが造られたのか見せ付けられて、俺は悲しくなった。

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