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第10話
テレビを点けているというのに、暴風雨が窓を叩く音が聞こえる
風呂に入ろうとテレビを消した瞬間、玄関のドアの方から、ガン‼︎と何かが打つかる音が聞こえた
まさかと思い、ドアに駆け寄り 勢い良く開けると 何か重たい物に打つかった
そのまま視線を下に向けると、横芝が真っ赤な顔で倒れていた
「おい‼︎」
全身濡れていて 末端が冷たい
抱える様にして風呂場に直行すると、張り付いている制服を脱がせて、温水を当てた
「…ん」
薄っすらと目を開けた横芝に ホッと胸を撫で下ろした
が、直ぐに新しく出来ている痣や傷に目がいって、グッと息を呑み込んだ
「…お前…これ…」
「…あ…違います…僕がいけないんです…」
体調が悪いというのに、にこりと笑う様は 妙に痛々しく感じた
「お父さんもお母さんも…Ωが嫌いなんです…
それなのに 僕…馬鹿だし…とろいし…だから 僕が悪いんです…」
だから 何されても良いのか…⁇
世間の風潮も Ωは何をされても文句を言えないみたいな考えもあるが、こんなに傷付いても笑わなくちゃいけないのか…⁇
「…先生…ごめんなさい…どうしても…先生に会いたくて…」
そう言って涙ぐむ横芝
昨日 俺にやり捨てされたのに 何でコイツはこんなに健気なんだ
「…今日はもう遅いし 熱あんじゃ帰れないだろ…」
俺がそう告げると、横芝 湊は めちゃくちゃ綺麗に笑った
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