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第3話
「まぁ、そりゃーな。日本だし、余計に」
「そう、日本では、ファッションだとしても刺青そのものに理解がないだろう。だか、お前はとても心優しくて美しい人間だ。見た目だけが全てではないことは、俺が一番よくわかっている。特にお前のことはな」
「ったく、言ってろマジで」
恥ずかしげもなくサラッと言うし。
どっちにしても、人間って本当に表面上でなんでもかんでも決めちゃいがちではあるよな。俺も刺青のことでそうやって変な目で見られてきたわけで、かといって俺自身もいろんなものに偏見があるわけで。
「まぁ、そんな話はどうでもいい。彼らも、そして俺たちも幸せなことには変わりがないんだからな」
「まーな」
コーヒーを一口飲んでまたソファにごろ寝しようかと思ったところで、彼がすっとなにかを差し出してくる。
「それで、俺たちも3ヶ月後の式に招待されたんだ」
真っ白い少し大きめのエアメールを、はじけるような笑顔で。
式をするって聞いた時点で、正直うっすらと頭には浮かんでいた。
「……は? 俺も?」
けれど、招待されたとしても、彼だけだと思っていた。
「当たり前だろう、俺たちの友人の結婚式なんだから!」
目をまん丸くして驚かれる。
「いや、まぁ俺もシェフのことは知ってるけどさぁ。だって」
躊躇う理由はただ1つ。
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