6 / 180

第6話

「今日はちょっと軽快なのを聞こうと思う。2人の結婚という話も聞いたところだしな」 「そうだね、いいかも」 軽快とは言いながら、いつも通りな渋いジャズが流れてきた。少しアップテンポかなってくらい。 「さぁハニー、休もうか」 まだうつ伏せになってた俺の隣に、彼が横たわる。 「うん」 無理やり彼の方を向く。俺から軽くキスをすると、彼も優しくキスをくれた。 子猫がおっぱいに吸い付くみたいに、唇をくっつけたまま感触を楽しむ。 「ハニー、俺は今日もお前がいたから頑張ることができた」 散々キスした後に、いつもこう言うのだ。 「今日は何にも頑張ってねぇよ、休みなんだから」 「俺は料理と日本語のレッスンを頑張ったからな」 「あぁ、それは頑張ったな」 「そうだろう? 褒めてくれ」 「はいはい、偉かった偉かった」 ぽんぽんと頭を軽く叩いた。 男2人で並んで寝ても十分広いベッドの上で、脚も絡めて抱き合う。 「ハニー」 自然と身体中を撫でられる。分厚い手になぞられた部分が、じんわりとくすぐったくなる。 でも今日はあんまりソノ気ないんだよなぁ。 「ごめん、今日あんまりそういう気分じゃない」 そういう時ははっきり言うことにしている。

ともだちにシェアしよう!