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第6話
「今日はちょっと軽快なのを聞こうと思う。2人の結婚という話も聞いたところだしな」
「そうだね、いいかも」
軽快とは言いながら、いつも通りな渋いジャズが流れてきた。少しアップテンポかなってくらい。
「さぁハニー、休もうか」
まだうつ伏せになってた俺の隣に、彼が横たわる。
「うん」
無理やり彼の方を向く。俺から軽くキスをすると、彼も優しくキスをくれた。
子猫がおっぱいに吸い付くみたいに、唇をくっつけたまま感触を楽しむ。
「ハニー、俺は今日もお前がいたから頑張ることができた」
散々キスした後に、いつもこう言うのだ。
「今日は何にも頑張ってねぇよ、休みなんだから」
「俺は料理と日本語のレッスンを頑張ったからな」
「あぁ、それは頑張ったな」
「そうだろう? 褒めてくれ」
「はいはい、偉かった偉かった」
ぽんぽんと頭を軽く叩いた。
男2人で並んで寝ても十分広いベッドの上で、脚も絡めて抱き合う。
「ハニー」
自然と身体中を撫でられる。分厚い手になぞられた部分が、じんわりとくすぐったくなる。
でも今日はあんまりソノ気ないんだよなぁ。
「ごめん、今日あんまりそういう気分じゃない」
そういう時ははっきり言うことにしている。
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