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第36話
「ハニーに言われると本当に自分が素晴らしい人間のような気がしてくるな」
ワイシャツを着たままはだけた胸に、軽くキスを落とされる。
「いや、本当にすごいと思うよ。仕事もして犬猫の世話もして」
「そしてお前を抱いて」
「いやそれはいいけど」
ワイシャツの隙間に手を入れ、背中を撫でられる。背骨をまっすぐ下に向かって指でなぞられると、背筋がのびた。
「っ」
なるべく感じたくないと思いながら、思うほど興奮もしてしまうわけで。
「やめろって、もぉ」
声も吐息も漏らさないみたいに、彼が顔を寄せてくる。
「随分敏感だな、どうした?」
ニヤニヤしながら。そのまま下半身に手を伸ばされると、俺も俺で全く抵抗なくベルトを緩めさせた。
「だからぁ、誰か来たら……っ」
「嫌なら抵抗したらいい。その気はないようだけどな」
本当にその通りで、ここで脱がされることに対する恥ずかしさや焦りの一方で、 彼に言葉で辱められることにちょっと快感も覚えてる。
いつの間にすっかりMになっちまったんだか、俺……。
「はぁっ」
自覚すると余計に興奮しちゃって、声が上ずる。
「せめて奥のソファーでっ」
ジタバタするけど、口だけで俺も本気で動く気はない。そうやって抵抗するのにも、ちょっと興奮してる。
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