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第37話

俺の興奮を察してた上で、それをもっと煽るみたいに太腿を撫でられた。 「下を脱いでくれないか」 ねっとりした穏やかな言い方なのに、断ることを許さない強さのある話し方だった。体はそれに抗わない。 「全部は脱がないから」 言葉だけは拒否をして。 「いいな、興奮するよ。体と心の行動が伴っていないようだ」 スラックスを脱いだ直後に、ヘソの上あたり、ボクサーパンツのゴムを引っ張られる。 「これも脱いでくれないか、お願いだハニー」 今度はおねだりするみたいに、ちょっと焦り気味に、囁くみたいに。 本当に何パターンあるんだろう。俺を翻弄するために用意された彼の顔は。もちろん、用意されたんじゃなくて自然と出てくるもんなんだろうけど、本当に文字通りの百面相でどんどん引き出したくなってくる。 「ったく、しょうがねぇなぁ」 ノッて、ちょっとだけ偉そうに返した。スラックスを脱いだときみたいに立ち上がって、ゆっくりと脱いでいく。 「焦らしてくれるじゃねぇか」 目の前に大好物でも出されたみたいに、目を輝かせ生唾を飲んでいる。 「別にそんなつもりねぇけど?」 本当にそんなつもりはないんだけど、少し息を荒げた彼の様子を見ていると、ちょっと翻弄している気になってくる。

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