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第43話

「はぁ……?」 全く目を晒すことなく、真面目な顔をして言う。 「うーん、やはり城のようなデザインにすべきだったかな」 やっと目をそらせたと思ったら、難しい顔をしてそんなことを言う始末で。どうやら頭の中には、ただ今建設中の俺たちの家のことが思い浮かんでいるらしい。 「バカだなぁ、城なんか建てたら掃除大変じゃん」 俺は俺で、速攻でそういう部分に頭がいった。 「掃除はハウスキーパーに任せればいいだろう?」 「日本のハウスキーパーは城なんか掃除したことねぇと思うよ」 「なるほどな、それなら本国から連れてこよう」 「そこまでしなくていいって」 大体にして、城なら俺がもっと幸せになるみたいな理屈がわからない。 「俺は全然今でも十分過ぎるくらい幸せだよ。城城って、そこまでこだわらなくても」 百歩譲って城を建てたとしても、西洋風な造りはきっと落ち着かない。日本の城ならまだしも。 「俺の国には伝統的な城みたいなものはないから、憧れがあるのかもしれない」 彼は苦笑して、俺の中を撫でるようにゆっくり指を動かし始めた。 「っ、あ」 「日本の城もカッコいいよな、忍者が住んでいるんだろう?」 「住んで、ねぇと思う、けど」

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