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第60話

式は静かに厳かに、けれど本当に柔らかいムードの中で行われた。 指輪の交換や婚姻届へのサインなんかの儀式を終えたところて20分くらい。誓いのキスは彼らが入場して来た時と同じくらいの大きな拍手が巻き起こった。 バージンロードを去り、ライスシャワーのために外の階段で彼らを待つ。舞台装置のようなものすごい大階段にずらりと世界の要人が並んでいるのは圧巻だった。俺たちは真ん中あたりで2人が到着するのを待っている。城のずっと向こう側まで、人混みが続いているのが見えた。たくさんの虹色の旗も見える。 「すっげ。超人いるし」 「国民みんなが2人の結婚を祝福しているんだ。彼は政治家として優秀でもあるし、自信を持ってあいつとの結婚を公表した。人柄もいいしな」 「そうなんだ、全然知らなかった」 もっと世界について勉強しないとな。 「お、2人が来たぞ」 彼が楽しげに言いながら階段の上を見た。つられて見て、目をまん丸くしてしまった。 シェフはこのタイミングでものっすごい裾の長い真っ白なドレスを纏っていたからだ。 「え、なに、女装?」 ぽかんとしていると、彼がまた顔を寄せて教えてくれる。 「あいつは昔ドラァグクイーンをやっていたんだ。ウェディングドレスを着たかったのかもしれない」

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