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第74話

ちょっとあっけにとられる。荘厳なお城の雰囲気に似つかわしくないと言ってはアレだけど、ちょっとチャラいというか軽いというか。なんて人のこと言えないけど、まぁいい。 部屋番号だけ覚えておいて、あとは適当に歩き回ることにする。支度して部屋から出ると、そのチャラさは彼だけのことではないことを知った。 廊下を歩いている間、時折すれ違うボーイの服を身にまとった外国人が、みんな笑顔で、しかもかなりラフにウインクしたりひらひら手を振ったりしてくる。適当に手を振ったりぎこちなく笑い返したりしたけど。 (なんかそういうお国柄なのか、それとも結婚イベントのオプションなのか) どっちにしろ、ブスッとされてるよりもいいけどさ。 とりあえず外に出てみようと思って、ここに初めて来たときと同じ経路を辿ってみる。実は、ここに来てまともにちゃんとヒマな時間ができたのは、今日が初めてだった。 この国に来て3日目。初日は来ただけ、次の日は結婚式と披露宴。からの今日。結婚祝いの一環で、まだ数日間は国のあちこちでイベントやパーティーが行なわれるらしい。それを見に出かけるのもいいかと思ったけど、彼も一緒に観に行きたいみたいなことを言ってたから、今日はお城の中にしよう、というゆるい算段だった。

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