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第78話

日の光と芝のつやつやした感じと植木のみずみずしさがうまく収められるだろうか。 シャッターを切るとなぜか連写モードになっていて、連続するシャッター音にびっくりして手元がぶれた。 「えっ、アレ?」 なんで連写になってんだ? カメラの設定を確認しようと視線を落とした瞬間、離れたところから笑い声が聞こえた。 初めは全然気にしていなかったけど、まだ開園していない時間帯の今、ここにいるのは俺くらいで、明らかに俺に対する笑い声だってことをわりとすぐに認識した。笑い声と同じ音の声が「あなたは不器用なの?」と話しかけてきた。 「……はぁ?」 さすがに頭を挙げた。今まさに写真を撮ったばかりの正面部分には誰もいない。ぐるりと自分の周りを見渡すと、ちょうど城を背にした真後ろに、すらっとした長身の外国人が立っていた。服装は俺と似たような感じでかなりカジュアルで、ぱっと見誰だけ全然わかんなかったけど、顔にフォーカスすると即座に誰なのか認識した。 (……アイツ) アイツって言うのも悪いんだけど、避けてきた俺にとってはアイツと呼ぶにふさわしい。 初日、昨日と遭遇していた、キラキラな王子様だ。 一度誰なのか認識すると、俺と大して変わりないカジュアルな服装も清楚に見えるから不思議だった。

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