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第96話

「ご機嫌よう。昼食ですか?」 俺の嫌いな孔雀。派手な羽をバサバサとやりながら、優雅に俺と彼の間にとまった。ように見えた。 ベーグル食べ終わった後でよかった、じゃなかったら完全に食欲失せてた。 「ええ、妻と約束していたんです、この国の婚儀を祝したお祭りはとても見応えがあるというので」 そんな奴に敬語使わなくていい!思わず口から出そうになったのを飲み込む。王子は涼しい顔をして、彼に微笑みかけている。 「ステキなご夫婦ですね、羨ましい限りだ」 髪をかきあげる仕草は多少綺麗だなって感じしたけど、本性がアレじゃ本心どう思ってることやら。 そんなこと知らない彼は、幸せそうにニコニコしている。 「ありがとうございます、お会いするのは2回目ですよね」 そうか、一応2回目なのか。こっちは結婚式の時も入れたらもう4回目の接触だ。気が合うのか社交辞令なのか、2人は楽しそうに話を続けている。彼が俺の事情を知らないのは厄介だ、さっき言えばよかったかな。 「王子様もお祭りを見学されていたのですか?」 「ええ、自国以外の祭りそばで観る機会はあまりないでしょう?」 「確かに。私は自国の祭りもあまり見ません。それに比べて日本はすごいですよ」 矛先がこっちに向いて来た。

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