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第99話
「あぁいうチャラチャラしたやつは嫌いなんだよ」
適当に言って濁したけど、後から後輩のことを思い出して、全然説得力なかったなと思った。その場はそれでおさまったから、だから別にどうということはなかったけど。
せっかくの昼食が台無しだ。仕切り直しにまったりとお祭り見学に出かけて、なんとなく夕日に変わり始めた頃に城へ戻った。
「……おぉ」
部屋に着いて開口一番、ソファ腰掛ける間もなく、スマホの画面を見た彼が、変な声を出した。
「なに、どしたの」
ドアの施錠を指差し確認してから、ソファに腰を下ろす。またあいつが覗きに来たら、今度こそぶん殴りそうだった。
そんなことを知らない彼は、スマホから顔を上げて満面の笑みで俺の顔を見た。
「やっとあいつから連絡が来た。ようやくお偉いさん方からの祝福が落ち着いたらしい」
「あいつ?」
尋ねておいて、即座に誰のことなのかを思い出した。
「あぁ、シェフか! そういえば式の時にちらっと見ただけで、全然会えなかったよな」
招待してもらったのに。けれど、同時に式のときのあいつの視線を思い出してちょっとだけ不快だった。もちろんシェフが悪いわけではない。ごめんなシェフ。
「とはいえ小一時間くらいらしいが、俺たちにぜひ会いたいと言っている。旦那を紹介したいそうだ」
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