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第101話

向こうから指定された時間は午後7時。帰ってきて早々って感じだったけど、夕食を一緒にとろうということだった。今回はシェフの料理じゃなくて、城のシェフの料理だそうだ。 レストランは貸切にしてあるという。部屋から歩いて15分ほど。廊下から外の景色を楽しみながら、手を繋いで他愛のない話をする。 「城の中にレストランなんかあるんだ?」 「まぁ、一応宿泊施設でもあるからな。この国の料理や歴代の王族が味わってきた料理を食べられるらしいぞ」 「へぇ、別にわざわざ外に出て行かなくてもよかったな」 「外と城の中とはまた違う食事だから、それはそれさ」 部屋からの道中、暖色の街の灯りが本当に綺麗に見えて、これから空に飛んでいくランタンがたくさん灯っているみたいだった。 穏やかになる気持ちをそのままに訪れたレストランは、城の石造りで生かした荘厳な佇まいをしていた。黄色みの強いベージュのレンガが積まれ、カーテンやテーブルクロスは黒目の藍色、蝋燭の灯された照明は外のランタンみたいな風景をそのまま部屋の中に持ち込んだみたいに見える。 「うわ、すげぇ」 ボーイに促されるまま彼の背中について歩く。窓際のめっちゃ眺めのいい席に、すでにシェフと時の首相が腰掛けていた。

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