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第104話

食事が運ばれてくる。1人につき1人の給仕のおっさんが付いた。ものすごく気まずいけど、そんなことを気にしているのは俺だけだった。 「もう一緒に暮らしているのか?」 「やっと先週から暮らし始めたばかりさ」 「そうなのよー、アタシの方が引き継ぎに時間かかっちゃってねぇ」 話している内容は驚くほど庶民的。規模こそ違うだけで。 「結婚に合わせて、別荘をもう1つ買ったんだ。彼がスキーをするから、ゲレンデの近いところにね」 「ふふっ、ホテルもいいけど、やっぱり気兼ねなく別荘がいいわよね」 「そうだな。俺は南の方ばかりで北には別荘を持っていないから、今度つくるときは北にしようかな。まぁ、南に別荘があったからハニーに出会えたんだがな」 いやいやいやいや。 すっかりだんまりの俺の隣で、彼はケラケラ笑いながらグラスワインを傾けている。 俺もちびちびやりながら耳を傾けるけど、もともとの知り合いでもなんでもない俺には入っていけないような、内輪の話ばかり……。 かと思いきや、そうでもなかったりする。 「ねーえ、ハニーちゃんはダーリンのどんなところが好きなの? 1つに絞れないかもしれないけど」 目を輝かせながら無邪気に尋ねられる。学生のときの女子のテンションに似ていた。

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