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第105話

「えぇ……っ、いや、俺の話は別によくない? 2人の結婚のお祝いなんだし」 急に話を振られて、照れたのもあってちょっとつれない言い方をしちゃった。言ってからあっと思ったけど、みんな特に気にしたようではない。 「俺も知りたいぜハニー。俺のどこが好きか聞かせてくれよ」 「はぁ? お前まで何言って……」 「とはいえ、まぁ俺が押しまくってお前のことを手に入れたようなもんだからな。だが、こうして喧嘩することもなくずっと夫婦として居られるというのは、お前も俺のことを好きだからに違いないだろう?」 ちょっと引っかかった。俺がこいつのことをそんな好きじゃないとでも言いたげに聞こえたからだ。歌の歌詞じゃあるまいし、どこが好きかなんていちいち聞いてどうすんだっつうの。聞かなくたって、好きだから一緒にいることくらいわかるだろ。いや、これは日本人的な感覚なんだろうか? 不満と考え事で口を噤んでしまうと、首相が加勢してきた。 「私は昔からの彼の友人として、彼が結婚するなんて思いもしなかった。彼は本当にモテ男でね、彼自身もそれをわかってたくさんの友人がいたんだ。正直、誰か1人に絞るなんて考えもしなかった」

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