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第120話
その表情がちょっと切なそうで、なんだか話さずに俺の胸の内にずっとしまっておくことが罪に思えてきた。
「どんな痛みも、心の痛みというのは分かち合うべきだと俺は思う。全てをわかってやれなくても、共有することは、この先なにかの助けになるはずだ」
そうだよな。
俺が遠慮するしないはまた別の問題で、彼に俺の気持ちをわかってもらうことは、ごく自然で当たり前のことだもんな。
彼は、もはや俺の半身なんだから。
「……うん」
でも、だからって真正面から顔を見て話すことは躊躇われた。強引に彼の胸に体を納めて、顔を見ないようにしながら呟いた。
「痛みってくらいのことじゃないかもしれないけど、聞いてくれるか」
それだけ言うのも、正直ちょっとまだ抵抗がある。
「もちろんさ。話せる範囲で構わない」
こんな時の彼は、普段に輪をかけて一際優しい声色で言う。彼の匂いも手伝って、心の中をじんわりとほぐすマッサージみたいな心地よさを感じた。
「なんか、なんかさ」
自分の心の中の地雷を探るようにしながら、少しずつ話していく。
「お前が一人で知り合いに会いに行ってたとき、俺、庭散歩しにいくって言ってたじゃん。そのときに、あの王子も庭にいて、声かけられたんだよ」
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