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第121話

「王子に?」 「ああ。庭の写真撮ろうとして、ちょっとミスったんだけど、そしたら写真撮るのヘタだなみたいなこと言われて」 「何?」 彼の声色が少しこわばった。 「問題はそこじゃないから。落ち着け。ここでつまずいたら次進まねぇからな」 だから、こまめに杭を打っておく。改めて咳払いをした彼が、努めて冷静に続けてくれ、と言った。 「ん、でな、そこからなんか俺のこと知りたいとかどうだとか言ってちょっとしつこく話しかけられて。その時は適当なこと言って離れたんだけど、そのあと結婚式に参列してたとき、なんか知んないけどすっげぇこっちのこと見てきて、すげぇやだった」 少しずつだけど、一気にバーっと喋ってしまうと、もうつっかえとか変な遠慮も一気にバーっとどこかに行ってしまったみたいにスッキリしてきた。 「ああハニー、何ということだ、そんな辛い思いをしてたなんて」 彼の嘆きぶりは絵に描いたような外国人のオーバーリアクションで、俺が伝えた気持ちがストレートに反映されてるみたいでちょっと嬉しい。 「それだけじゃなくて、なんか王子、俺たちがヤッての、見てたっぽいことまで言ってた」 言うか躊躇ったけど、これを機に彼に隠し事はなしにしたくて、呟いていた。

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