130 / 180
第130話
「絶対別れてやんねぇって言っただろ、いつか」
雰囲気をぶった切るみたいにはっきりと言うと、彼は少しだけ目を丸くした。
「心配させたのは悪かったけど、俺は絶対にお前のこと裏切んねぇから。俺だってお前のこと」
彼のほっぺたを両手で包むみたいに捕まえて、無理やり俺と視線を合わせさせる。
一回しか言わないくらいの気持ちで、真剣な気持ちで言った。
「お前のこと、愛してるから」
彼にこの言葉を改めて伝えることはほとんどない。伝える術を知らないわけじゃないのに、羞恥心みたいなものが、なんの役にも立たないのにずっと邪魔をしてきた。
羞恥心は取っ払って、今は彼に想いを伝えることが最優先。愛する彼のために、彼を安心させることが、今は何よりも大切なこと。
とはいえ伝え方があまりうまくないことは、自分でも自覚している。
まっすぐに見つめ続けると顔が熱くなってきて、もう何秒とも保たずに目を逸らしてしまった。
「ハニー……」
彼は目をそらさずに、じっと俺を見つめ続ける。
「あんまり見んな……」
本当に恥ずかしい。捨て台詞吐いて逃げたのに、その場でコケたみたいな気分だ。
視線を逸らし続ける俺のほっぺたを、今度は彼が片手で拘束した。
ともだちにシェアしよう!