131 / 180

第131話

「ハニー、もう一度俺を見てくれないか」 ほっぺたを潰さないくらいの緩い拘束。前を向かされるには十分な拘束。 「出会った時と変わりない、美しいその瞳で」 緑がかった青い瞳で見つめられる。まっすぐに、純粋に。あまりにもピュアすぎて、ただ愛を伝えただけの自分が、なんだか小心でちょっと汚らわしいもののように思えてくる。 けれど、愛する彼の求める通りに再び視線を合わせた。少し勇気を振り絞って。 「あぁ、何も変わりないな、出会った時の瞳そのままだ」 視界いっぱいに、安堵した彼の顔がうつる。そのまま唇を重ねられると、自然と舌が潜り込んで来て深いキスに変わる。 彼に唇を舐られると、どういうわけか下半身にそのまま感触が直結して、腰回りが落ち着かなくなってくる。 「っ、ん」 絡んだ唾液が飲み込みきれずに口の端から溢れる。 目を閉じたままだと、感触にだけ意識が集中して、だんだんそれしか考えられなくなってくる。 「ぁっ」 唇が解放された。同時に閉じていた目を開く。気配は感じていたけど、すぐ目前で、彼がとろけそうなくらい優しい顔をして笑っている。 「今日はいつもより優しくしたい気分だ」 彼は目を細めたまま、すっかり俺の上にまたがるような体勢をとった。

ともだちにシェアしよう!