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第131話
「ハニー、もう一度俺を見てくれないか」
ほっぺたを潰さないくらいの緩い拘束。前を向かされるには十分な拘束。
「出会った時と変わりない、美しいその瞳で」
緑がかった青い瞳で見つめられる。まっすぐに、純粋に。あまりにもピュアすぎて、ただ愛を伝えただけの自分が、なんだか小心でちょっと汚らわしいもののように思えてくる。
けれど、愛する彼の求める通りに再び視線を合わせた。少し勇気を振り絞って。
「あぁ、何も変わりないな、出会った時の瞳そのままだ」
視界いっぱいに、安堵した彼の顔がうつる。そのまま唇を重ねられると、自然と舌が潜り込んで来て深いキスに変わる。
彼に唇を舐られると、どういうわけか下半身にそのまま感触が直結して、腰回りが落ち着かなくなってくる。
「っ、ん」
絡んだ唾液が飲み込みきれずに口の端から溢れる。
目を閉じたままだと、感触にだけ意識が集中して、だんだんそれしか考えられなくなってくる。
「ぁっ」
唇が解放された。同時に閉じていた目を開く。気配は感じていたけど、すぐ目前で、彼がとろけそうなくらい優しい顔をして笑っている。
「今日はいつもより優しくしたい気分だ」
彼は目を細めたまま、すっかり俺の上にまたがるような体勢をとった。
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