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第136話
「ハニー、もっと聞かせてくれ」
彼が熱い息に添えて彼が囁いてくる。もともと緊張していたわけではないけど、体の力がどんどんほぐれていくのを感じる。
「お前だけだから、こんな声聞かせられるの」
こっちもついつい、息を吐きながら囁く。
「誰にも聞かせたくないし、聞かせる気ないし、だからちゃんと聞いてて、俺の声」
じっと見つめると、彼が少し視線をそらせた。
「ハニー、そんなに見つめられると」
そう呟いた瞬間、彼の下半身の熱が増したような気がした。
「出会った時を思い出すようだ。お前と初めて出会った時、見つめられたその瞳を思い出す」
気がした、というか本当にそうだったみたい。手が添えられて、押し付けるみたいに俺の手を彼の下半身に触れさせる。
我ながら余裕がないのは、まだこの場に集中できていないからかもしれない。頭の中にまだあの王子のことがちらついていた。ちらつきをなくしてしまうには、ちゃんと彼に触れて、彼とともに高みに登るしかないと思う。俺が心から望んでいることでもある。
彼への贖罪のように、きちんと下半身を握りしめた。
「ねぇ、いい、舐めても?」
恥ずかしがる彼の目を見つめながら、うっすらと笑ってみる。
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